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寄付したことがない人に伝えたい、寄付して得られる3つのもの

ジャンルを選んで寄付するsolioの代表の今井です。

僕の大学時代の友人から聞いたのですが、「なんか、寄付する気になれないんだよな」という話をしていました。

「抵抗があるわけでもないし、一定程度は稼いではいる気もするけど、自分の中では余裕がない。選択肢に上がってこないんだよ、興味はあるのだけど」と友人は話していました。

「寄付には興味はあるが、しない」という選択を取っている人が割と多いとsolioの活動を通して感じていたので、今日は「寄付して得られるもの」というテーマを考えてみたいと思います。

寄付して得られるものは

① 感情の落とし所をつける

②自分の内面と向き合える

③幸福感を得ることができる

の3つです。

寄付して得られるもの1 感情に落とし所をつける

ウクライナ侵攻の時にいてもたってもいられない。でも、普段自分には仕事もあるし、ロシアがウクライナに侵攻して何か止められるわけではない。SNSで「戦争反対」と言えるかもしれないが、それだけだと何かウクライナの人たちに貢献できたと思えない。そうだ、そんな時にウクライナの人たちのために寄付しよう。今だと寄付は大使館や国連機関にすぐにできる。だから、寄付してみた。寄付したら、なんとなく罪悪感がなくなった。自分も何か貢献したような感情になった。そこから少し気持ちが落ち着いた。

こちらの話は、友人から聞いた話を少し簡単なストーリーのようにまとめてみたものです。僕自身も、災害などがあったときに「なんかしたいが、自分がボランティアを入ってできる状態でもないし、情報発信よりも今できることは寄付だ」と思ってよくcampfireやreadyforなどがNPOさんと組んで行っている緊急支援の寄付などですぐに寄付したりしたことがあります。その時に寄付した後、気持ちが少しスッキリ、というより「やっと貢献できた」というような感情が出てきました。

具体的なことでいうと、僕自身の体験ではアフガニスタンでタリバンが再度政権を奪取した時にいてもたってもいられない気持ちになりました。

先日、女子教育の再開を停止の報道もありましたが、タリバン政権になることによって米軍が空爆してから民主化しようと20年動いてきたことはなんだったのか、そしてまた難民や飢餓が国民を襲うだろうと考えると「何かできることはないだろうか」ということを思わざるを得なかったのです。

ただ、僕自身は今はNPOの代表として働いているし、現地で何をしようと思ったところで時間的な余裕やスキルもあるわけではない、きっとニーズも違う。そう思った時にUNHCRやWFPなど国連期間や既に動いている機関に寄付することに決めました。

寄付したときに「やっと、行動がとれた」と思えました。寄付をしてスマホからカード決済するだけなんですが、それだけでも気持ちの余裕ができます。何かに貢献できたのだと、そこで何かしら安心ができる。もちろん、継続的に何かをしたいと思っているのですが、一旦感情に何かしら落とし所ができるような感覚でした。

仕事をしていたり、本業でないことをNPOや非営利組織等にしてもらえることで代わりにやってもらえる、そのために寄付する、というのは何かしら高まっていたりつっかえている感情を一度整理するためにも必要なことだと言えるのでしょう。

寄付して得られるもの2 自分の内面と向き合える

こちらの記事で寄付は内面と向き合うことを少しだけ書かせていただきました。

投資家で有名な藤野英人さんの言葉を載せますが、

「GS(ゴールドマンサックス)は、企業も社員もボランティアも寄付もする。それで個人で寄付をするということは自分の内的なものに向き合っている人が多く、そういった個人が集まる組織って強い」

どういうことかというと、寄付をするときに「自分は何に関心があるのだろうか?」「子どもなのか、貧困なのか、教育なのか。それとも環境問題なのか?」などリターンがなかったとしても自分が貢献したいこと、貢献しようと思っていることに向き合うようになります。

自己の問題関心と向き合うことは自分の解像度を上げることになります。藤野さんはそういった寄付をしている人は内面と既に向き合っている人が多く、そういう人が集まる組織は強いのではないか、と話していたのではないかと思います。

寄付はそういう意味で自分の過去からくる体験や経験、共感、もしくは何に共感しないかなどを考えることになります。お金を持っていなくても「どうしてもこれはしたい」「これだけは貢献したい」という感情、お金があって少し何かしら貢献したいと思った時に月額で寄付するジャンル、社会課題とは何か、ということ。

自分の内面と向き合えることはキャリアや世界観にもつながっていきます。僕自身は高校時代からさまざまな団体に対して寄付してきましたが、寄付することがきっかけで2001年のアフガニスタンの空爆の問題を知り、イラクに2004年にわたってNPOの活動をしようとしました。そこでは大変な経験もしましたが、今私が代表を務める認定NPO法人D×Pの設立にも大きく影響しています。

寄付して得られるもの3 幸福感を得ることができる

寄付すると幸福感が上昇する、という実験の話を僕は何度か読んだことがあります。

寄付行動が幸福感を高めていることを明らかにした有名な実験がDunn et al.(2008)である。Dunnらは、被験者に5~20ドルのお金を分配し、被験者をランダムに2つの群に割り当て、一方の群には「自分自身のため」に、他方の群には「他者のため」に、各自に分配されたすべてのお金を当日中に使いきるように指示した。実験の前後で被験者に主観的幸福感尺度を用いて幸福感を回答させ、変化を調べたところ、「自分自身のため」に使うよう指示された群よりも、「他者のため」に使うよう指示された群で、より大きな幸福感の上昇が確認された。

詳細はこちらのレポートなど読んでいただけるとわかりやすいです。

僕自身も何度も言われたことがありますが、

「寄付を始めたことで、社会との接点が増えて自分が社会にとって役に立っていることを実感できました」

「solio(ジャンルを選んで寄付するサービスです)で寄付したことで、やっと寄付できて幸せです」

とNPOやsolioに携わっていることで言われたことがありました。「役立っている」「幸せ」など、このあたりがキーワードのような気がしますが、仕事以外でも何か自分がやりたいことがあってそういった時に寄付行為というのが一つのアクションになるということだと思います。そして、人に対しての贈与、つまり何かを与えることができたことが社会貢献感や自己肯定感にも繋がっていると思います。

本多静六さんという有名な投資家はいます。本多さんは給料の4分の1を天引きして投資し、巨額の資産を作った方です。

本多さんの言葉に、

「人生最高の幸福は、社会生活における愛の奉仕によってのみ生じる。わかりやすく言えば、他人のために働くことだ」

他人のために働くことが幸福に結びつく。それを戦後でも訴えたわけですが、これは寄付にも言えるのではないのでしょうか。仕事以外でも他人のために寄付すること、何かしら投じることは、すなわち幸福感につながるのではないか、と。

僕自身も6団体に寄付していますし、クラウドファンディングで日々多くのNPOなどの支援などもしていますが、長く寄付をしていてその団体が成長していくと「初期の頃から応援して、貢献できてよかった」と思えます。それがなんとなく幸せなんですよね。たかだか月千円ほどですが、その団体の支援や活動の成長に貢献して社会課題解決に近づけるとか最高なんじゃないか、と僕は思っていたりもします笑



さて、ここまでが寄付をして得られるものをまとめてきましたが、いかがでしたでしょうか。

あまり「得られるもの」としてまとめたくはないのですが、最後ひとつ言いたかったのは寄付は人との縁を生みます。寄付することで、そこの団体の人の顔が見れるようになり、つながる。そこから当事者にあったり、団体の人との交流で別の世界が見れたり。

アクサHDの代表の安渕さんは「企業リーダーは本気でNPO運営に関わるべき」と断言していましたが、面白い世界です。

SNSで自分のみたいものしか見れない社会の中で、寄付は社会観を作ります。世界観を育みます。寄付したことがない方は、一度ぜひ寄付を始めてみみませんか。

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