誤嚥性肺炎の再発予防は多職種連携の極み
夕方にPHSが鳴る。「こんな時間にすいません」と申し訳なさそうに若手医師がしゃべりだす。いいよ、どうしたの?と聞くと、「誤嚥性肺炎の患者さんがいるんです」とのこと。
治療のことかな、と一瞬思ったが、彼が言うには、何とか再発予防ができないか、とのこと。
とても素敵な相談だと思った。多くの相談は、誤嚥性肺炎に対してどの抗菌薬を使えばよいか、である。治療の後の予防にまで想いを巡らせることは、案外難しい。
せっかくなので、日本語を中心に文献を調べてみた。いつもは英語文献を探すのに今回は日本語で検索したのには訳がある。唯一絶対の予防法があるわけではなかろうから、日本のシステムの文脈で語られているものが良いだろうと考えたからだ。
渡邊裕. 口の機能の低下はどのよ うに評価し 予防できるか. 総合リハ. 2022;50(8):937-944.
海老原覚. 誤嚥性肺炎予防に向けた包括的アプローチ. 医学のあゆみ. 2021;279(5):480.
関雅文. 高齢者肺炎球菌ワクチンの現状. JOHNS. 2021;37(11):1437.
これらによると、医師・看護師・薬剤師・歯科衛生士・言語聴覚士・管理栄養士の協働が重要とのこと。特に薬剤師による覚醒状態を悪くする薬剤の中止や変更の提案、という項目は、僕にとっては目新しかった。
後はガイドラインでも、ワクチン(肺炎球菌ワクチン・インフルエンザウイルスワクチン)を勧めている。数年先にはCOVID-19のワクチンも推奨に入りそうですね。
https://minds.jcqhc.or.jp/docs/minds/NHCAP/CPGs2011_NHCAP.pdf
誤嚥性肺炎の完璧に予防することは難しい。少しでも主治医の熱意にお役に立てればよいが。そして、患者さんの穏やかな日常生活を願うばかり。
補足:
こちらの本も気にはなったが、今回は購入見送り。どこかで手に取る機会があればいいな
と思っていたら、タイムリーにLancet Infectious DiseaseにNon-ventilator-associated hospital-acquired pneumonia (nvHAP)を防ぐためのバンドルの効果についてスイスから報告されていた。後日読もう。