DAY5:最も忘れられない登場人物が出てくる作品〜『中島鉄砲火薬店』〜
演劇を観るときは、作品とフラットな関係を保ちたい、という想いは無意識に働いてか、登場人物に強い感情を抱くことがあまりない。
仮に応援している役者が演じていて、その生き様に興奮や感動で心が昂っとしても、どこか冷静にいろんなことを考えてしまう。ここのシーンはこうで、かれらの動きはこうで、空間はああで。(なんと面白くないやつなんだ自分は!と反省はしている)
だから、このお題にちょっとだけ眉を顰めてしまった。
どうしよう、「忘れられない」人がいない。このチャレンジ、早速躓いたのでは?
いやいやいやいや、そんなことはない。
ついに目が合ってしまったの。「忘れられないひと」と!
(故郷がTwitterだから引用がお家芸になりつつある。)
今年1月、新国立劇場にて上演された『中島鉄砲火薬店』。新進育成公演として主演の唐橋充さんをはじめ、個性豊かな顔ぶれで「再演」された。
(3行あらすじはナタリーの記事で!)
脚本・演出を担当されている伊藤栄之進さんの演劇がだいすきで、配信にて観劇。わたしがすぐさま心奪われたのが、主人公・中島登の後妻であるヨネ(as 福永マリカさん)だ。
というのも、ヨネさん、めちゃくちゃ喋る。キラッキラの笑顔で。
(※このツイートの誤字がだいぶ恥ずかしいのでスルーしてほしい)
明るくて溌剌とした雰囲気を裏切らない、スピーカー越しでも“生”のエネルギーが伝わる声は、驚くほどに力強い。加えてこちらがつられて口元を綻ばせてしまうニコニコ顔。彼女の存在は「太陽神の化身か?」と勘違いしそうなほどパワフルで、全身で受け止めると背中がびりびりした。
また、登のことが好きで好きで仕方ないところが、とってもあいらしくって。この辺りは劇中でコミカルに書かれているのだけれど、それもかわいい。あいしていても、ずっと恋もしている乙女。ぎゅっと手を握って「あなたが一番かわいいです!」と言いたくなってしまう。笑
はじめはそんな印象が強かったのだけれど、登が事業を急にはじめたり辞めたりしても「わかりました。」とやさしく応え、サクサクとその後の手続きをはじめてしまう姿を見て、思った。
ヨネさん。あなた、なんて「できた人」なんだ。
こんな理想の【伴侶】がいるなんて、羨ましすぎるじゃないか、中島登。
突拍子もない行動を取っても、真実を話してくれなくても、すべてを信用し、支え守り続ける瞳にコイをした。わたしが。
きっとこの先も、「ああ、ヨネさん、かわいかったなあ」とあたたかな想いを抱いて生きていく。
(ヨネさんを生きた福永さんと会えたことに心から感謝。なんてチャーミングな役者さんなのだろう。いつかちゃんと劇場でお目にかかりたい!)
「忘れられない人」は、残像にならない。
わたしのすべてに焼きついて、色褪せることなど知らない。
いま、この身を持って実感している。