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フランス式のガレットとクレープがなかなか市民権を得られないのはなぜだろう

そば粉で作るクレープ=ガレットのことを知ったのはいつのことだろう。
最初は多分、妻が作ったのを食べた時だろうと思うが、かれこれ15年ぐらい前になる。
その頃は、ブルーベリージャムをつけて食べていたが、結構気に入っていて妻に何度もリクエストをしたものだ。

クレープのことは、意外にも街角のクレープ屋さんが広まるもっと前から知っていた。
クレープは僕が高校生の頃、うちでは人を招いて食事する時に母が作っていたが、それはお食事クレープだった。炒めた挽き肉や野菜などを巻いて食べるもので、それはそれで楽しみなメニューだった。

クレープメーカーなるものがあってテフロン加工のフライパンを逆さまにしたようなものでクレープの生地の中に凸型のフライパンを下向きにぽちゃっとつけて引き上げて上向きに置いておくとしばらくすると焼き上がる。それをまたひっくり返しクレープを下にするとペラっと剥がれるので皿に乗せて出来上がり。

それを何回も繰り返して、20枚ぐらい焼いて置く。それは実に簡単な作業で高校生の僕の係だった。

食べる時はめいめいが一枚ずつ取って手巻き寿司のようにして食べるのだ。なかなか美味しくて大好きなメニューだった。でもその頃はスイーツとしては食べさせてはくれなかった。母はお菓子作りも好きな人だったが、何故かは分からない。

今のカフェを始める時、あのクレープメーカーで作っていたことを思い出し、しばらくクレープをメニューにしていた。
街角のクレープ屋さんとは違って、お皿にクレープをのせ、アイスクリームやフルーツを添えて出し、ナイフとフォークで食べるスタイル。
しかし、日本でクレープと言えば、ホイップやフルーツをクレープで巻いて紙に包んであるのが一般的なクレープのイメージ。(原宿スタイルといって、あれは日本独自の文化だそうだ)
ただ、そのイメージが強すぎて、クレープと言えばあのくるくる巻いたものと思われていて、お皿のクレープは今ひとつウケが良くなくて、あまり注文されなかった。

これには結構悩んだ。
お菓子づくりの本などではお皿のクレープは普通に載っているのだが、意外と一般には知らない人が多い。それを証明するかのように、このいわゆるフランス式のお皿のクレープを出すお店は非常に少ない。

よそがどんな風に出しているか研究しようと思って探したがなかなか見つからず苦労した。
たいていの場合、かなりの確率で、そのお店はフランス人がやっている。
ある時、福岡でなら店は見つかるだろうと探してみたが、福岡市内といえどさほど多くなく、ようやく数軒見つけて、天神の店をグーグルマップを頼りに行ってみたら、マンションの一室だったことがある。(細かく言えば薬院だったが)そこはフランス語やら英語の教室でも使っているようだった。
3〜4年前に長崎のガレットとクレープのお店に行ったが、そこはなかなか素敵な店だった。お食事ガレットもデザートクレープも充実していて、とても美味しかった。当然のようにフランス人がやってるお店。ランチタイムだけ営業していて、ここもフランス語教室をやっている。でも本格的でとても美味しいお店だ。


クレープもガレットもとても美味しいので僕は大好きなスイーツだ。ハムやチーズを載せるガレット・コンプレなどのお食事ガレットもよく作る。今ではクレープパンを使って焼いている。フランスではクレープリー以外のレストランや家庭ではクレープパンはごく一般的に使われている。フランスでは、クレープ専門店のことをクレープリーと呼ぶ。フランスのクレープリーの記事を探すと素敵な店がいろいろ紹介されていてとても楽しい。

今は僕の店では、パーティの予約が入った時に、デザートに出したりしている。その時は意外と喜んでもらえる。できれば、もっとたくさんの人にクレープとガレットをその美味しさを知って欲しいと思っている。



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