虐待を受けた人の一番の特徴とは何でしょう|私は愛着がなかった?足りなかった?
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※この記事は、Twitterの質問箱に来た質問を深掘りして回答したものです。
【お返事】虐待を受けた人は、愛着障害ですので、愛着障害ということで話を進めます。
愛着障害の最も顕著な特徴は、人間に対しての安心感のなさです。人に対しての信頼感の薄さです。
深い親密を結べません。親密になりたいとは思っていても、いざ関係が深くなるとその関係を切ろうとします。想像できないくらいの人への信頼感が希薄なのです。反応性アタッチメント障害では、最初から人を遠ざけているので分かりやすいですが、脱抑制型対人交流障害では、最初はものすごくフランクな印象を与えるので、まるで愛着障害ではないようにみえます。しかし、しばらくつき合って交流が深くなりかけた頃、突然と音信不通になったりするので、ワケの分からない人という印象もあります。
愛着が足りない人は、究極、親密を求め続けます。
最初はおとなしい感じだったのに、近くなってくると人を求める行動が爆発したりします。相手は急に依存してくることに対して、怖くなって距離を取ったりします。すると見捨てられ不安が刺激されて、怒りや求める行動が加速して、人間関係が破綻します。
■どうして愛着の見立てをミスるのか?
安心感のなさと親密を求め続ける行動、これが決定的な大きな違いですね。このへんは心理職でも区別がつかない人も多いようですね。なぜ区別がつかないのか?それは親密の中で育ってきた、人への信頼感のある中で育ってきた人が大部分だからです。ですから、親密を求めないということをアタマでは理解できても、実感が薄いのです。そこで見立てをミスリードしてしまうのです。
誤診を回避するには、その人の親のことが見えていないと無理です。親の見立てをしっかりと立てることです。それによって愛着がなかったのか、足りないのかが分かります。できれば親子3代くらいのジェノグラムが必要なところです。なぜなら親を見立てるには、その親のことも分かっていると、しっかりと見立てることができるからです。
■愛着スペクトラム障害について
岡田尊司先生(「愛着障害」の本で有名な)も、このへんの区別をつけていません。愛着が足りない人も、愛着障害に入れちゃってます。岡田先生の「愛着スペクトラム障害」の概念がそれです。そのほうが見立てとしては楽かもしれませんが、治療過程がまるっきり違うのでどうなのかなとも思います。
高橋和巳先生(「消えたい」の本で有名な)の見立てのがこのへんすっきりします。すっきりしているのですが、見誤ることも多いと思います。理由はさきほど述べた、心理職のミスリードです。
ですから質問者の方は、愛着障害と愛着不全をきっちり見通せるカウンセラーに相談されるのもいいでしょう。この見分けは、プロであっても、愛着のことをかなり知っていないと、難しいのです。
■まとめ
虐待を受けた人の一番の特徴は、安心感のなさ、人に対しての信頼感の薄さです。それゆえ親密を求めません。
愛着の足りない人は、親密を求め続けます。
心理職でも愛着の有無はミスりやすい。理由は、多くの人は愛着のある世界で生きてきたから。
愛着スペクトラム障害で考えてしまうと、愛着の有無をミスりやすい。
⇒解決しない悩みのある方は、ソレア心理カウンセリングセンター へご相談ください。
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