愛着不全は思春期心性だから不安より怒りが強い|不安(葛藤)を抱えるには精神的な成熟が必要
この質問について、以下がお返事になります。①思春期とは何か、②思春期になると感情がどう変化するか、③見捨てられ不安の本質、などを考えてみましょう。
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※この記事は、Twitterの質問箱に来た質問を深掘りして回答したものです。
■思春期とは何でしょう?
愛着不全の方の見方としては、【思春期心性】なんですね。思春期だから「親への反抗」です。まさに怒りですね。
次に「思春期」というものを考えてみると、これは学童期と成人期の過渡期と見えてきます。すると一つの時期ですが、学童期と地続き、連続体のように見えてきます。精神科医の高橋和巳先生も思春期を、そのように捉えています。
■思春期へ移行すると、感情も不安→怒りへ移行する
ですから、学童期の人は、治療が進むと自然と思春期心性へ移行します。同時に感情も、不安から怒りが優勢に変化してきます。
これは一方向に進むわけではなく、不安は相変わらず存在しつつ、そこに怒りの色合いが強くなってくる感じです。そして怒りは、状況によって強くなったり弱くなったりします。怒りが呼吸している感じのように思えます。思春期心性の人の怒りは、こういったものです。単純ではないのですね。シンプルな怒りではありません。
学童期から思春期への移行は、結構早い段階で進みます。無意識下で移行を拒む心性もあって、それは学童期心性がかなり強固な人です。そしてカウンセリング継続が困難になります。
なぜ学童期でとどまるのかというと、十分に子どもの体験ができていないからです。十分に子どもとして遊ばせてもらっていないので、思春期への移行を拒みます。まだ子どもでいたいのです。
それも苦しまぎれに自分のこころを守っているわけなので、カウンセラーは強引に進めようとしてはいけません。ドロップアウトしないよう、思春期へ移行していくよう、母性と父性を発揮し、見守っていることです。
■「見捨てられ不安」は怒り
愛着不全の人の愛着スタイルは「不安型愛着スタイル」ですので、「見捨てられ不安」が優勢です。この見捨てられ不安の源流は、不安ではなく、見捨てていく者たちへの怒りです。見捨てられる恐怖も、もちろんありますが、分かってくれないことへの怒りが渦巻いています。怒りが優勢です。
BPDの方々のとてつもない怒りを見れば、お分かりいただけるのではないでしょうか。首都圏を一瞬にして焦土にしてしまう、ゴジラの火炎放射のパワーです。あのような怒りです。そのような怒りを語ります。
さて、不安という感情は、人間が初期に感じるモヤモヤした感情であり、次にやってくる感情の前哨戦のようなものです。次の明確な感情を感じたくないために、不安で済ませていることもあるでしょう。そして不安の次にやってくる隣接感情は、「怒り」なのです。感情を感じるには順番がありました。
不安 → 怒り → 恐怖 → 絶望 → かなしみ → 諦め → 楽 → よろこび
こんな順番で感情を感じていきます。途中、行きつ戻りつしながら、それでも時間をかけて、不安感情はよろこび感情を目指していきます。
■不安について
こんな質問もいただきました▼
【お返事2】結論としては、保留にしておくのが苦手な人とは、不安が強い人ともいえるし、自分の中に葛藤を保持しておくことがイヤな人ともいえます。この「葛藤をキープできるかどうか」というところが重要ですね。葛藤をキープできないと、保留も難しくなります。受け取ったボールはすぐ誰かに投げたくなります。しかし葛藤を抱えるには、精神的な成熟が必要となります。
不安型愛着スタイルの人は不安が強いですが、安定型愛着スタイルの人も不安に思うときがありますね。つまり不安という感情は、神経症的な症状をもたらすものですし、感情のスタートラインともいえる感情です。
感情のスタートラインというのは、さきほど説明したように、人間は、まず不安を感じるということです。ですから不安自体は悪いものではありません。生きてれば必ず感じるものです。
ただこれが強くなってくると、神経症的なものから精神病なものまでだんだんと移行していくわけです。普通域から病気までの大きなグラデーションがあるのが「不安」ですね。
■まとめ
愛着不全の人の基本感情は怒り。それは思春期で立ち止まっていても、学童期で立ち止まっていても同じ。
思春期は、学童期と成人期の過渡期と見る。
こころの状態が思春期に入ってくると、不安から怒りが強まる。
不安型愛着スタイルの見捨てられ不安は怒りがベース。
感情を感じる順番がある。
物事を保留できるとは、葛藤を抱えることができるということ。相手にボールをすぐに投げ返さず、うつうつとしつつ自分でキープできること。
◇ラジオのおやすみ談話室:チキンラーメンと殿様ラーメン
■他の助けを求める
もし、あなたが思春期の怒りが成就していないと感じるのであれば、臨床心理士などの心理の専門家にアドバイスを求めるとよいでしょう。あなたが自分の感情にうまく対処できるように、心理士は特別なトレーニングを受けています。
⇒解決しない悩みのある方は、ソレア心理カウンセリングセンター へご相談ください。
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