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愛着不全と複雑性PTSDの違いがわかりません

【質問】愛着不全と複雑性PTSDの違いがわかりません

【解説】複雑性PTSD(C-PTSD)は、愛着障害と考えると分かりやすいです。そして【目に見える虐待】と考えます。つまり、性的、身体的、心理的な虐待、ネグレクト、この4つ。つまり、「目に見える虐待行為」が、「継続的に続いている」世界で生きていると、複雑性PTSDになります。参考記事です▼

※この記事は、Twitterの質問箱に来た質問を深掘りして回答したものです。

■「継続性」からみた愛着不全とC-PTSD

虐待を考えているので「継続性」もポイントですね。C-PTSDの場合、虐待行動がずっと毎日続いている状態です。それに比較すると愛着不全の場合は、継続性はありません。ときどき暴発する感じです。

■目に見えない虐待とは?

目に見える虐待が次の4つでした。この4つが疑われる場合、「複雑性PTSD(Complexed-PTSD)」になります。この概念を提唱したのが、ジュディス・ハーマンです。

・性的虐待
・身体的虐待
・心理的虐待
・ネグレクト(養育放棄)

では、目に見えない虐待とは何でしょうか。こちらが虐待の本当の原因になります。上の4つは原因というよりも表面上みえる状態です。本当の原因は、

・社会的ネグレクト(愛着関係が不成立の状態)

これによって「自己の障害」が起きます。この概念は、ハインツ・コフートによって提唱されました。この目に見える虐待(複雑性PTSD)と目に見えない虐待(自己の障害)の2つを見ていかないと、愛着障害の全貌は分かりません。つまり、

・愛着障害=複雑性PTSD(目にみえる虐待)+自己の障害(目にみえない虐待)

社会的ネグレクトについては、下記記事を参考にしてください。
https://solea.me/2020/05/08/abuse-social-neglect/

■愛着不全は理解しやすい

愛着不全は虐待ではありません(もちろん例外はあります)。愛情はあったが十分でなかった場合の話です。機能不全家族ともいえます。愛着のある世界を扱っているので、臨床家も理解しやすいです。大勢の人は、機能不全であっても、愛着のある世界を生きてきたからです。

しかし、実際の愛着臨床では、この愛着不全まで虐待(愛着障害)として扱う臨床家が多いので、話がややこしくなっているのです。(例として、岡田尊司先生の愛着スペクトラム障害

なぜそうなるかというと、「区別がつきづらいので、一緒にしてしまおう」という治療者側のご都合でそうなっている場合が少なくないと感じています。つまり、見立ての放棄です。

ともあれ、愛着不全と愛着障害の切り分けについては、質問箱でもときどき出てきます。とても分かりづらいというか、研修を何度も受けている専門家さえ見立て違いしてしまう領域です。

■複雑性PTSD(愛着障害)がなぜ理解しにくいのか?

なぜ、これほどまでに分かりにくくなっているかというと、先ほども申し上げた通り、多くの人の場合は、愛着のある世界で生きているからです。世界を信頼しているからです。そのため、愛着のない世界など、想像したくても想像できないのです。

専門家は、その部分を、何十回もの研修を受けて、知識をインストール・バージョンアップしていく中で、頭では理解できるようになります。しかし、それが知識レベルでとどまっているので、間違った見立てをすることがあるのです。

愛着のある世界で生きてきた人が、こころの底からそれを理解するのは、やはり難しいことかもしれません。難しいですが、最低でも頭では理解できるように精進していくのが臨床家の使命ともいえるでしょう。ここに、終わりなき愛着臨床の奥深さがあります。

⇒解決しない悩みのある方は、ソレア心理カウンセリングセンター へご相談ください。

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