レオ・レオーニとソレアの長い旅|カウンセラーの在り方とは?
こんなツイートをしました。今回は、カウンセラーというもののイメージを考えつつ、ソレアについての雑談です。
※今回の記事はラジオでも視聴できます。テキストを見ながらどうぞ▼
■カウンセラーという存在
カウンセラーは、遠くから見ても、近くに寄っても同じ大きさに見える。
あるクライエントさんに、そのようにカウンセラーを定義していただきました。遠近法が成立していない不思議空間がカウンセリングルームであるということは、誰も否定しないでしょう。それを表現したものですね。
月を見ながら歩いているとずっと追いかけてくる。かげろうは、こちらから追いかけると逃げていく。距離が変わらぬ関係性ーこれが相談者とカウンセラーの特徴を表わしているのでしょう。
アンデルセンの「絵のない絵本」に出てくる、世界をあまねくに照らし出す夜の月。遠くから近くから、お月さんはあなたを見ています。
カウンセラーとは、時空のあわいに存在するヘンな人と言えそうです☺
そしてカウンセリングが終わる頃、カウンセラーに会いに来ていた路が閉じられていきます。どの路を通ったか記憶から消されていくでしょう。その路は時空のあわいに消えていく、千と千尋のトンネルのように。
■平行植物とカウンセリング
絵本作家として有名なレオ・レオーニですが、彼は時間をかけて1冊のファンタジー小説を書きあげました。それが「平行植物」です。パラレルワールドの幻想小説です。詳しくは、工作舎のサイトをご覧ください。
私が初めて彼を知ったのが1980年で、その頃は彼が有名な絵本作家であるとは知りませんでした。ただ、彼の描く幻想植物群に惹かれて、私も、なんとか月の光で光合成ができないものか、それで芽キャベツを育てられないか、真剣に考えたこともありました。そして、彼らにはドビュッシーを聴かせようなんて、ほぼ、マッド・サイエンティストです☺
平行植物の図版は工作舎のWebサイト「レオーニの幻想の庭~平行植物」を参照しています。
カウンセラーというものは「遠くから見ても近くに寄っても同じ大きさに見えるんだな」と、フシギネを指さしながら、私のクライエントさんは語りました。「遠くから見ても…」の出典は、このフシギネだったのです。
彼は小学校の図書館でこの平行植物の図鑑に出会っています。そしてこのフシギネの在り方がとても奇妙で、しかしフィット感を覚えていたのです。こんなマイナーな本を小学生が読んで、数十年後にこうやって出会うなんて、まさにこの本をめぐる奇譚とも言えるかもしれません。
そして夢見の杖。
この夢見の杖と呼ばれる平行植物のらせん状のこぶが、フラメンコのソレアのリズムだと紹介されています。そして、ソレア心理カウンセリングセンターの「ソレア」は、このレオーニの「夢見の杖」が出典です。
また、ソレアのURLである solea.me は、自分を白日のもとにさらすという意味で、”Who are You?"(お前は誰だ?)という意味も持たせています。夢見の杖をついたカウンセラーの正体はいったい?☺
■また不思議な話
平行植物にまつわる出来事には、こんな奇妙な話もあります。まさに平行植物が空間を歪めたのかもしれません。
1970年代後半、私が20代になった頃、松岡正剛氏の「遊」という刺激的な雑誌が工作舎から出ていました。表紙は、松岡氏の奥さんになった、まりの・るうにい氏でした。彼女の絵も、刺激的▼
その工作舎から1980年に出版されたのが「平行植物」でした。その本は、私の本棚の片隅でひっそりと生息し続けたのです。そして時折、私の人生に顔をのぞかせます。
例えば、ソレアという会社を作ったのが1991年。社名をどうしようかと考えていたところ、夢見の杖のことを思い出して、再読したところ、ソレアという名前を見つけました。「ソレア」と口に出すと、それはいい感じの耳ざわりで、それ以来、ソレアは私の傍らにずっと居続けることになり、今もカウンセリングセンターの名前となって生息し続けています。
しばらくこの平行植物の本の存在は忘れていたのですが、2014年頃だったか忘れましたが、知らない人から小包が届きました。開けると、平行植物の新装版が入っていました。この新装版のエディトリアル・デザインをなさった方で、どうも私の大学の後輩のようです。面識はありません。私のサイトを見てくれていたらしく、新装にしたので献本いただいたのでした。
1980年に購入した旧本は、誰かに貸したらしくいま手元にはありません。誰に貸したか忘れてしまっていますが、旧本が、誰かの手元で、また空間を歪めて何かをしでかしているのかもと思うと、ワクワクするのです☺
40数年、旅してきたレオーニの平行植物とソレアは、まだまだ旅を続けるのでしょうか。