見出し画像

Google広告の計測補完機能「拡張コンバージョン」の導入事例。欠損したデータを補完し、ラストクリックベースの成果改善に貢献!

2024年7月22日、
Google社はChromeの3rd party Cookie廃止の見送りを発表しました。

引用:Google、サードパーティCookie廃止方針を変更 新たなユーザー選択肢を導入へ

廃止の見送りがあったとはいえ「Safari」「Edge」など主要のブラウザでは既に廃止されているため、3rd party Cookieが利用できるのは、約5割という状況に変わりありません。

画像引用元:日本の7月 2024におけるトップブラウザ市場シェア

よって、Cookie規制による影響で想定される事象(下記)への対策が急務です。

  • リターゲティング広告に使う配信リストの量・データ精度が低下して成果が悪化する

  • 広告経由でコンバージョンしても計測されない

そこで今回、Google社が対策の一つにあげている「拡張コンバージョン」について、概要・導入事例・施策をご紹介します!


そもそもCookieとは?

Webサイトにアクセスした際に、PCやスマートフォンに記録される情報。Cookieを利用すると、私たちが対象となるサイトを訪問したことや、広告経由でコンバージョンしたことなどがわかります。

しかし、個人情報保護の観点から、Cookie規制が強化されてきました。

今日では、Apple社がiPhoneのテレビCMで「iPhoneはプライバシーを守れる」と個人情報の保護の観点をアピールするほど、世の中に浸透してきています。

Cookieの種類について


Cookieには「1st party Cookie」「3rd party Cookie」の2種類があります。

中小企業がCookieレス時代に向き合うために必要な”データマーケティング”とは?

▍1st party Cookie
閲覧したWebページのドメインから直接発行しているデータ

例えば、ショッピングサイトでカートに入れていた商品の情報が、時間おいて訪問した際にそのまま残っていることがありますよね。これは、「1st party Cookie」でデータ保存を行なっているからです。

▍3rd party Cookie
訪問しているサイトとは異なるドメインから発行されるデータ

広告用のタグをサイトに実装している場合、広告配信しているメディアのサーバーから発行されるのが「3rd party Cookie」。広告で主に利用されているのはこちらになります。


拡張コンバージョンとは?

拡張コンバージョンは、プライバシーを配慮したうえで正確なコンバージョン測定ができ、高度な入札単価設定を可能にする機能です。


💡拡張コンバージョンと従来のコンバージョン計測の違いは、コンバージョンユーザーを判断するために使っているデータが異なること。

従来のコンバージョン計測→「3rd party Cookie」
拡張コンバージョン→サイトから取得した「1st party Data」(電話番号・メールアドレスなどの顧客情報)

拡張コンバージョンを活用することで、コンバージョン計測の精度を向上させることができるのです!

拡張コンバージョンの計測の仕組み


画像引用元:拡張コンバージョンについて - Google 広告 ヘルプ
  1. ユーザーがGoogleにログインした状態でGoogle広告をクリック

  2. ユーザーがコンバージョンに至る

  3. コンバージョンするまでに入力フォームで記載した「電話番号」「メールアドレス」などの情報が、計測タグを通じてGoogleに送信される

  4. Googleのもつデータと、タグで送られたデータを照合し、コンバージョンが計測される


実装方法


では、どのようにすれば実装ができるか?
大まかな流れを説明します!

1.広告管理画面で「拡張コンバージョン」を利用することに同意

2.「拡張コンバージョン」のユーザー提供データの設定方法を下記のいずれから選択

「Google タグ」「Google タグ マネージャー」「Google Ads API」

3.手順2で選択した方法に合わせて設定

※今回の記事は、あくまで概要と導入事例がメインのテーマです。「ユーザー提供データの設定方法」については割愛させていただきます。

タグやプログラミングなどの知識が必要です。テック領域の専門の方に下記のページを参考に依頼することをオススメします。

👆各方法の設定について
Google タグを使って拡張コンバージョン(ウェブ向け)設定方法
Google タグ マネージャーを使って拡張コンバージョン(ウェブ向け)設定方法
Google Ads API を使って拡張コンバージョン(ウェブ向け)設定方法

🚨注意点
「拡張コンバージョン」は、お客さまの「個人情報」を取得してGoogleのサーバーにデータを送ります。
そのため、プライバシーポリシーに個人情報を第三者に提供する可能性がある旨を記載し、事前にユーザーに同意を得る必要があります!

この点に関しては自社の法務部門とも、すり合わせたをしたうえで対応いただく必要があります。
※参考:顧客データに関するポリシー - Google 広告ポリシー ヘルプ


事例|欠損したコンバージョンデータを補完して成果創出

①ラストクリックベースの獲得単価が約20%改善


▍案件概要 

  • 商材:人材のマッチングサービス

  • 検証内容:ラストクリックベースの「獲得単価(CPA)」を比較

  • 検証期間:2か月

②Google Analyticsベースの売上金額が約500万円増加


▍案件概要 

  • ビジネスモデル:EC(雑貨)

  • 検証内容:Google Analyticsベースの「売上金額」「ROAS」を比較

  • 検証期間:1か月

これらの事例では、「3rd party Cookie」ではカウントされなかったコンバージョンが「拡張コンバージョン」を設定したことで計測されるようになり、機械学習に用いられるデータ量が増えたことで最適化が進み、「獲得単価」「ROAS」が改善したと考えられます。

注意事項として、「拡張コンバージョン」を設定しても数値に変化が見られないケースもあります。しかし、欠損しているコンバージョンデータを補完してくれることは間違いないので、設定することを推奨します!

ちなみにGoogle広告には、測定できないコンバージョンを推定して学習状況を補完する機能があります。あくまで"推定"になるため、「拡張コンバージョン」を用いた精度の高い「1st party Data」で補完することが、広告成果を落とさないためのポイントです。


Cookie規制への対策の鍵となる「拡張コンバージョン」×「カスタマーマッチ」について

本来「カスタマーマッチ」に使うユーザーリストを作成する場合、管理画面からデータをアップロードしなければなりませんでしたが、「拡張コンバージョン」を実装することでリストを自動生成できるようになります。

カスタマーマッチとは?


自社が保有する「顧客情報」に基づき、ユーザーリストを作成して配信する手法。既存顧客への再アプローチや類似ユーザーへのリーチが可能です。
(引用:カスタマー マッチについて - Google 広告 ヘルプ

▍導入メリット

  • 「1st party Data」を使った精度の高いターゲティングが可能になる

  • P-MAXキャンペーンのように機械学習に頼った配信手法には重要なシグナルになる

  • 自動入札において価値が高いデータになるため、パフォーマンス向上につながる


「拡張コンバージョン」×「カスタマーマッチ」導入事例


画像引用元:Think with Google ファーストパーティ データの活用 ―― 社外パートナーと初めての連係、マーケティング担当者はどう動いたか

こちらは、Googleの公式サイトに掲載されている通販専門チャンネル「SHOP CHANNEL」様の事例になります。新規会員の増加を目的に「拡張コンバージョン」「カスタマーマッチ」を活用したところ、獲得数が増加しました。

▍カスタマーマッチのユーザーリストを自動生成する方法

1.「拡張コンバージョン」の設定が完了したうえで、管理画面の「管理者」をクリックして「Customer Match」を選択。

2.「Conversion tags」に✔を入れる

➡ 確認方法
「オーディエンスマネージャー」のリストの中に「〇〇 (Conversion-based)」というセグメントがあれば、そちらが自動生成されたオーディエンスになります。


「コンバージョンAPI」との併用が推奨

「拡張コンバージョン」は「コンバージョンAPI」を駆使することで、より豊富なデータ収集が可能になります。
         
▍コンバージョンAPIとは
広告主のサーバーから媒体のサーバーへ、1st Party Dataを直接送信することが可能な機能。拡張コンバージョン同様に、コンバージョン計測を補完する仕組み。

データの量と質が成果を左右する。獲得数が2倍に拡大した事例|コンバージョンAPIを簡単に実装するツール「DATA CONTROL」とFacebookピクセル標準イベントの設計

通常はユーザーのブラウザから媒体のサーバーへコンバージョンデータが送信されますが、昨今のCookie規制の影響でそのデータ送信に欠損が生じる場合があるため、

コンバージョンAPIは、通信の経路を「ブラウザ→サーバー」から「サーバー→サーバー」に変更し、その影響を受けにくくし、欠損するコンバージョンデータを補完できるのです。

💡「拡張コンバージョン」「コンバージョンAPI」は、それぞれ独立して対応可能な手法です。


誰でも簡単にコンバージョンAPIを使えるツール「DATA CONTROL」


しかし、コンバージョンAPIの導入・運用には、エンジニアによるサポートや設計に加えて、マーケティングの専門スキルも必要なため、実装難易度が非常に高いです。そこでソウルドアウトでは、誰でも簡単にコンバージョンAPIを使えるツール「DATA CONTROLデータ コントロール」を提供しています!

データの量と質が成果を左右する。獲得数が2倍に拡大した事例|コンバージョンAPIを簡単に実装するツール「DATA CONTROL」とFacebookピクセル標準イベントの設計


さいごに

最後まで読んでいただきありがとうございます!

Chromeの3rd party Cookie廃止の見送りがあったとはいえ、Cookie規制により想定される事象への対策には、今後も向き合っていかなければなりません。

今後も、引き続き情報発信していきます!


[ 執筆者 ]
赤塚 怜央(あかつか れお)/アカウントコンサルティング本部テックスタジオGr.
2018年入社。入社後、Amazon広告の部署でAMSの拡販に従事。2019年よりアドテクノロジーの専門チームに所属。現在はCriteoやGoogleなど、フィード広告の運用を中心に行なっています。休日はフットサル、読書、映画鑑賞をしています⚽

ソウルドアウト公式noteでは、週に1~2回ほど、デジタルマーケティングに関する情報をお届けしています!
ぜひ、フォローをお願いします🔥

デジタルマーケティングに関するご相談・お問い合わせはこちらからお願いします🔥