$23 Blackfin DSP Chorus - DIY Eurorack Modular Synthesizer
背景
自作モジュラーシンセの72作品目。
DSPを使いたい
今年度の目標に、DSPを使ったDIYがあるため、それを実行に移す。
私はDSPを扱うのは今回が初なので、簡単に挑戦できる手段はないかと探していたところ、ちょうどよい入門用書籍に出会った。
「音遊び! Blackfin DSP基板でディジタル信号処理初体験」という書籍は、DSPの基礎を学びつつ、付属の基板で簡単にDSPエフェクターを作成できるというものだ。
オンラインショップでは取り扱いが無く、本屋を探したが見つからなかったので、中古で2000円で購入した。
今回は、この本に付属した基板「IFX-49」を使用したモジュールを作成し、DSPの基礎を学ぼうと思う。
コーラスエフェクト
シンセサイザーやギター、エレクトリックピアノでは、比較的高い頻度で使用されるエフェクトの一種。音を重ねて爽やかな音を出すことができる。
モジュラーシンセにおいては、コーラスエフェクトモジュールの数は非常に少ない。DSPエフェクトモジュールにおいても、コーラスは搭載してないことが多く、希少だ。
コーラスはアナログICで作る事もできる。BOSS CE-2の回路図を見てみたが、ノイズ対策のフィルター設計に苦労した痕跡がみられた。
モジュラーシンセ用にアナログコーラスを作るのは難しそうだ。
よって、今回はDSPではコーラスを作成することにした。
制作物のスペック
ユーロラック規格 3U 12HPサイズ
電源:90mA( 5V )
DSPをつかったデジタルコーラスモジュール。
USBによる5V単電源で動作するため、ユーロラックケースに組み込まず単体のエフェクターとしても使用可能。
コーラスのDRY(原音)の音量をゼロにすることで、ビブラートエフェクターとしても使える。
コーラスのほかに、簡単なリバーブエフェクトも搭載している。
DRY pot:原音の音量。音量を0にすると、コーラスではなく、ビブラートエフェクターとして機能する。
WET pot:コーラスエフェクトの音量。
FREQ pot:エフェクトの揺らぎの速さ。
DEPTH pot:揺らぎの振幅の大きさ。
FREQ CV:エフェクトの揺らぎの速さ、5Vp-p
DEPTH CV:揺らぎの振幅の大きさ、5Vp-p
IN volume pot:入力音声の増幅、減衰。
OUT volume pot:出力音声の増幅、減衰。5Vp-p
REVERB pot:リバーブエフェクトのフィードバック量
PUSH SW:エフェクトのON/OFF切り替え
LED:エフェクトON時に点灯
IN:音声入力
OUT:音声出力
製作費
総額約$23
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書籍(IFX-49付属) $15
MCP3008 $2.5
可変抵抗 $0.3*7pcs
他(汎用部品は下記リンク先参照)
ハードウェア
IFX-49が入手困難な現在、回路図の需要は小さいと思う。
ADコンバータICのMCP3008と、オペアンプのTL072の構成。
MPC3008の3.3V電源はIFX-49から供給されている。
IFX-49は5V to 3.3Vレギュレータを搭載しているからだ。
音声入出力のオペアンプは、5V単電源に対応するために、2.5Vのバイアスを掛けている。
出力レンジは5Vp-pとなる。
ソフトウェア
書籍「音遊び! Blackfin DSP基板でディジタル信号処理初体験」にはCD-Rが付属しており、その中にサンプルプログラムが入っている。
そのサンプルプログラムを微修正して今回のモジュールを作成した。
サンプルプログラムを鳴らした動画は上記の通り。
ソースコードの8割は、このサンプルプログラムを流用している。
よって、今回はソースコードは公開しない。
IFX-49のRAMは32KBしかないため、深いディレイやリバーブを掛けることは難しい。IFX-49はステレオ対応だが、バッファはモノラル信号のみを扱うなどして、RAM容量不足の対策をした。
今回、書籍を読み進める中で、デジタルフィルタの原理や、エフェクトの信号処理の考え方を学ぶことができた。
今後のDIYモジュールを作る際の参考にしたい。
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