$11 SSI2140 VCF - DIY Eurorack Modular Synthesizer
背景
自作モジュラーシンセの77作品目。
シンセサイザー専用のICにはいくつか種類がある。Coolaudio製のICは日本での調達性が良く、多くの自作シンセで用いられており、私も過去にいくつか作成した。
Sound Semiconductor製(以下SSI)のICは日本で調達することが難しかったのだが、電氣美術研究會さんがSSI製ICの取り扱いを開始したので、SSI製ICを使ったモジュールを企画した。
SSI2140
Prophet5でも使用されたSSM2040をベースにしたICなのだが、発売してから日が浅いせいか、SSI2140を使用したVCFの作例は多くないようだ。
SSI2140の特徴であるQ VCAの機能は使いつつも、あまり機能は詰め込まない、シンプルなローパスフィルタを作ろうと思った。
制作物のスペック
ユーロラック規格 3U 6HPサイズ
電源:16mA( +12V ),16mA( -12V )
SSI2140を使用した4pole LPF VCFモジュール。
ICのQ VCA機能を使うことで、レゾナンスを上げたときに音量が小さくなる課題を克服しており、使いやすい。
レゾナンスを上げると自己発振してsin波を出力する。V/octは非対応。
FREQUENCY POT : カットオフ調整用
RESONANCE POT : レゾナンス調整。自己発振する。
ATTENUATOR POT : 入力音声の減衰用。SSI2140に限らず、VCF専用ICは大きな電圧の音声信号を扱えないので、減衰が必要。しかし、減衰しすぎるとノイズを拾う背反もあるため、その調整をするための可変抵抗。
FREQUENCY CV : カットオフ調整用。5Vでフィルターが開ききるように調整しているため、V/octには非対応。
RESONANCE CV : レゾナンス調整用。
IN : オーディオ入力
OUT : オーディオ出力(Vp-p : 10V)
製作費
総額約$11
---------------------------------
SSI2140 $5
フロントパネル $1
TL074 $0.6
変換基板 $0.5
可変抵抗 $0.3*3pcs
他(汎用部品は下記リンク先参照)
変換基板は0.65/20pinを使用する。
aitendoの★0.65/20P★ピッチ変換基板(2枚入) [065S1004D20A]を使用した。
ハードウェア
SSI2140周辺回路
データシートに記載された回路をベースに、モジュラーシンセ用に変更してある。
Q VCAの機能を使用している。R29の33kohmの抵抗をチューニングすることで、Q VCAの効き具合を調整できる。
トランジスタラダーフィルタはレゾナンスを上げた時に原音の音量が減少する挙動があるため、使いにくい。しかし、このQ VCAを使用することで、レゾナンスを上げても音量を一定に保持することができる。
Q VCAの機能の補足動画をPatreonで公開している。
R29が適正な値の場合、小さすぎる値の場合、大きすぎる場合の出力波形のふるまいが確認できる。
今後の活動の励みになるので、Patreonでサポートしてもらえると嬉しい。
入力回路
先述の通り、SSI2140は大きな音声電圧を扱えないため減衰が必要。減衰しすぎるとノイズを拾いやすいので、ちょうどよい電圧まで調整してやる必要がある。そのために音量調整用の可変抵抗を入れている。
Cutoff Frequency回路
トリマーによる調整が必要。CV=0[V]、Frequency potが0のときに、音声出力が0(Cutoff frequency < 20[Hz])になるように調整する。
CVは5Vでフィルターが開ききる設定としている都合で、V/octには非対応。
Resonance回路
CV入力にあるダイオードは逆流防止用。本来ならばオペアンプで加算回路を組むことが理想だが、部品を配置する基板スペースが無いため割愛した。
自己発振するため、sin波オシレータとして使用可能。
宣伝:オープンソースプロジェクトの支援をお願いします
DIYモジュラーシンセのオープンソースプロジェクトを継続するために、patreonというサービスでパトロンを募集しています。
コーヒー一杯の支援をいただけると嬉しいです。
また、パトロン限定のコンテンツも配信しています。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?