モジュラーシンセ トラベルケース自作
背景
自作モジュラーシンセの74作品目。
Tokyo Festival of Modular 2023に出席しまして、やっぱリアルイベントはいいなあと思ったのでした。
自分がモジュラーシンセを始めた頃はコロナ真っ最中で、モジュラーシンセの発信はもっぱらインターネット中心だった訳です。
これからは少しずつ、外でも活動できればいいと思い、運搬可能なトラベルケースの作成の企画を立てたのでした。
制作物のスペック
アタッシュケースを使用したユーロラック規格トラベルケース。
98HP*2、バスボード内蔵。
パッチケーブルを刺したまま蓋の開閉が可能。
レールは自作のアクリル製ブラケットにより固定。
モバイルバッテリーから30Wまでの給電可能。
製作費
総額約 12000円+α
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レール 531円*4
四角ナット100個 629円(50pcs)*2
スリムヘッド小ねじ(レール用) M4*10 368円
スリムヘッド小ねじ(ブラケット用) M4*16 409円
アタッシュケース 7000円
アクリル製ブラケット 300円+送料
+ホームセンターで買える適当なM4ナット、スペーサー
なお、モバイルバッテリーから給電する場合は以下も追加
Anker Power Bank 30W 6000円
PD充電ケーブル 18-20V 1000円
作成のポイント
1.レール
モノタロウのフレームレールを使用。
日本におけるモジュラーシンセのレールといえば、タカチレールが定番だったが、yamane氏の提唱により、もっぱらモノタロウレール(通称)を使うユーザーが増えたと感じる。
長さも自由にアレンジできるので、新しいスタンダードかと思う。
なお、購入にはモノタロウの個人事業主のアカウントが必要、留意すべし。
自由寸法のバーナットは無いようなので、四角ナットでモジュールを固定することとなる。
2.ブラケット
レールを固定するためのブラケット。別になくても直接ケースに穴を開けて固定することもできるのだが、メンテナンス性を考えるとブラケットがあると便利。
ホームセンターから適当に切り出した板に穴を開ければよいのだが、今回はアクリルレーザーカットに挑戦してみた。
CADはFusion360を使用して、2Dデータを作成。DXFファイルを書き出しして、elecrowに発注した。
1つめのブラケットは今回のケースに使用する6Uブラケット。
長孔と丸穴を使い分けれる設計で、寸法に自由度を持たせた。
固定用のボルトはM4を想定しているが、穴はφ5と少し余裕を持たせることで、アタッシュケース穴あけの際の誤差を吸収できるようにしてある。
アクリルは黒マット色、t=3mm。10枚作成して、価格は$7.95。安すぎ!
アクリルとは思えない黒マット感が良いのだが、マットなのは片面だけで、もう片面は通常の黒アクリルで光を反射する感じだった。
剛性はブラケット単体では、やや柔らかさを感じたが、レールをつけるとガッシリとする感じ。個人で使う分には、許容範囲内かと思う。
2つめのブラケットは、おまけで作成した3Uブラケット。
シンプルな構造で、その変に転がっているケースをモジュラーシンセ用に転用することを想定している。
アクリルは透明、t=2mm、20枚作成して価格は$20。
樹脂の中では高い強度のアクリルではあるが、厚さ2mmは不安を感じる剛性だ。小型のケースを前提に使用したほうがよさそうだ。
輸送はOCSを使用して送料は$13.5、発注から到着までは3日間しか掛からなかった。すごいぞ。
3.バスボード
電源供給のためのバスボードやフライングケーブルは思ったより高額だ。市販されているバスボードは12口で5000円を超えてくる。200HP近いケースでは、バスボードだけで15000円以上の費用が掛かる。辛い。
費用を抑えるべく、11口のバスボードを2つ自作した。総額は300円もしないだろう。
以前、PCB gogoという中国のPCB製造委託会社が、サイズ制限なしで、作成費用と輸送費が無料というとんでもないキャンペーンを実施していた。
その際に作成したバスボード基板を使用したので、基板費は無料。ボックスヘッダーも、aliexpressで1個10円くらいで買える。
基板は公開されているCADデータをそのまま流用している。感謝。
バスボードは黒く塗ったベニヤ板に固定して、ケースにボルトで固定している。見えない部分だし、見た目は妥協。
4.アタッシュケース
安いアタッシュケースを使用。
十分な深さがあり、スペースを有効活用すべく角Rの小さいケースを選んだ。
カン付き丁番なので、購入時点ではフタを取り外すことができなかった。
カンをニッパーで切断し、丁番をラジオペンチで強引に曲げることで、フタの脱着ができるようにした。
ブラケットの組付けは、アタッシュケースに穴を開けてM4ボルトで固定している。レールの寸法に若干の余裕をもたせ、スペーサーで寸法誤差を吸収する構成としている。
ブラケットにはザグリが無いので、ボルトは低頭のものを使用した。
5.電源
PDモバイルバッテリーで電源供給が可能だ。
自己責任の世界なので、詳しくは語らない。
不幸な事故を予防するために、モバイルバッテリーの品質は良いものを選びたい。今回使用したAnkerのPDバッテリーで過負荷テストをしてみたが、モバイルバッテリーが過負荷異常を検出して出力を停止したのでひとまず安心。
ryota氏が記事が参考になるので、是非。
以上。
モジュラーシンセのケースは多くの人がDIYにチャレンジしているので、XやInstagramを覗いてみると魅力的な作例が多く見つかると思う。
是非DIYにチャレンジしてみてほしい。
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