【図解】なぜ、スタバは儲かるのか?
日本全国で1600店以上を展開するスターバックスコーヒー。
ドトールやサンマルク、セブンコーヒーよりも高いのに、どうして多くの人はスタバに買いに行くのだろうか?
一方で、一等地にも関わらず、300~400円くらいのコーヒーを販売し、長居している客も多いのに、どうやって儲けているのか疑問に思ったことはないだろうか。
実際、世界最大のカフェチェーンであるスタバの売上高は2.92兆円、営業利益率14.8%と他のカフェチェーンと比較しても圧倒する売上、そし高利益率を上げている。※2018年通期
そんなスターバックスコーヒーの戦略や儲かる仕組みを図解してみました。
スターバックスコーヒーの戦略図解
1.なぜ、顧客はスタバを利用するのか?(図解上段)
眠気覚ましのためカフェインを取りたいだけなら、缶やボトルコーヒー、セブンカフェ等で事足ります。
特にセブンカフェは、美味しい本格的なコーヒーを安く手軽に提供しており、眠気覚ましのためにカフェインを取りたい人たち、ちょっとした休憩、気分転換を求める人たちのニーズを捉え、一気に拡大しました。
さらにセブンカフェは、味も美味しく、ブラインドテストしたら、セブンが一位だという記事も出ています。
ドトールなど他のコーヒーチェーンからしてもスタバのほうが割高ですよね。
つまり、お客さんは、安い、美味しいからスタバを利用しているわけではなく、スタバに行くことで満たされる感情、その体験にお金を払っています。
それがスタバの家でも職場でもない「サードプレイス」の提供になります。
忙しい日常生活で、ストレスを抱えていると、ふとリラックスをしたくなるもの。
そんな時、無機質なビルの壁面とは異なるおしゃれな外観、リラックスできるBGMと美しい内装に、部屋に漂うあのコーヒーの香り。
そして自分を大切な人のように扱ってくれる素敵なスタッフによるおもてなし。
この体験を得るために、セブンコーヒーや、ドトールなど他のカフェチェーンではなく、顧客はスタバを選んでいるのです。
そして、この顧客価値を実現しているのが「他社との差」に記載した下記。
ちなみに「他社との差」は4Pの製品、価格、場所、プロモーションで考えるのがポイントになります。
この中で特に他社が簡単に真似できないのは、スタッフによる最高のおもてなし。
これを実現するためには、スタバのミッションと、そのミッションやコーヒーの知識、サービス精神を伝える人材採用、教育が必要になり、簡単には真似ができません。
2.なぜ、スタバは儲かるのか?(図解中段)
儲けの仕組み(ビジネスモデル)を考える時は、まず収益構造から考えるのがコツです。
ここでは収益構造を利益の式から考えます。
利益 = 売上 - 費用
売上= 利用客数 × ①来店頻度 × ②客単価
費用= 固定費(人件費、地代等) + ③変動費(コーヒー豆など材料費)
売上の式は、席数×回転率×稼働率や市場シェアでの考え方、スタバだと持ち帰り客も分けて考える場合などありますが、目的に応じて要素を変えるのが大事になります。
今回は、来店頻度が重要なため、シンプルなこの式にしています。
なぜ来店頻度が重要かというと、レストランと異なり、カフェチェーンは同じ店に毎日のように通う事(お持ち帰りも含めて)ができるからです。
これは非常に重要で、リアルな店舗型ビジネスの中では、カフェチェーンは圧倒的に来店頻度をあげる事ができる業界になります。
つまり、客単価が安くても、来店頻度を上げることができれば、他の店舗型ビジネスより売上、利益を上げる事ができるのです。
(ちなみに店舗型で来店頻度を最も上げる事ができるのはコンビニ、その中でもセブンは圧倒的ですね)
分解した収益構造の式の要素の中で特に重要なのは数字を振った下記の項目になります。
①来店頻度の向上
②客単価の向上
③変動費の削減
なぜ、利用客数や固定費より、これらの3つの項目が重要なのか。
利用客数は、広告を打てば増やす事ができますが、一度に増えすぎて場の雰囲気を壊す客が来たらどうなるでしょう。既存客は逃げてしまうのではないでしょうか。
また、スタバの価値は居心地の良い場の提供であり、既存客、つまり来店頻度が重要は指標になります。
そして来店頻度が高い、つまり満足度が高いわけで自然と口コミが発生し、徐々に新規客も増える仕組みになっています。
実際に、スタバはCMなど広告をほぼ行わず、SNSや口コミで新規客を取り込み、拡大させてきました。
固定費の削減が入っていない理由としては、地代は一等地にいる人達へのリラックスできる場の提供なので、ここでケチっては一貫性がなくなります。(もちろん、スタバブランドによる交渉力で根切り交渉はできていると思いますが)
そして、最高のおもてなしできる人材の育成や教育費を削減すれば、人材の質が落ち、居心地の良い場になりません。なので固定費は投資と捉え、変動費の中でも顧客価値が毀損しない費用の削減に取り込んでいると考えられます。
ということで①~③を実現する事が儲けるために重要であり、これらに対応するのが儲けのポイントで上げている3つになります。(下記の図の関係)
これらにより売上増加、費用削減で儲けを増やし続け、最大のカフェチェーンになることができました。
ちなみに、ドトールなどカフェチェーンは平均営業利益5%の所を、スタバは営業利益率約14%になります(ちなみにコメダも高利益率です)
3.なぜ、勝ち続けるのか?まとめ
勝ち続けるには、競合から真似されないかつ、競合や代替品にとって変わられない独自の価値の提供が必要になります。
競合から真似されないためには、下記の2つのループが一貫性・整合性を持ち、回転し続ける必要があります。
①強みが他社との違いを強化し、顧客価値を高める事で、更に顧客が増える事で強みが強化されるループ。
②強みが儲けのポイントを強化し、更に利益が増える事で強みが強化されるループ。
上の図解を見ていただくと、この2つのループが綺麗に回っている事がわかるかと思います。
更に、スタバは、リラックスできるサードプレイスの提供として、独自の価値を提供しています。
現在、この独自の価値を高いレベルで提供できているのはスターバックスコーヒーだけでしょう。
さて、最後に、なぜスタバがカフェ業界でここまで成功できたのか。
その理由の一つとして、カフェ業界にとって事業の重要な成功要因(KSF)を徹底追求してきたからだと言えます。
カフェ業界は、レストランとは異なり、毎日でも通える事が特徴です。
毎日通いたいカフェチェーンを作るためには、価値連鎖のバリューチェンから考えれば、下記の3つがポイントとして考えられます。
・毎日でも買える美味しいコーヒーの企画、開発
・魅力的なおもてなしができるスタッフの採用、教育
・居心地のよい環境づくり(内装、椅子テーブル、BGMなど)
つまり、この3つがカフェ業界の成功要因(KSF)となります。
そして、その中でも、スタッフが最重要です。
理由は、コーヒーを提供し、場の雰囲気に一番影響を与えるのがスタッフだからです。
そして、スタバは、そのスタッフに対して、スタバのミッション、ビジョンの浸透や、サービス精神、コーヒーの知識など人材教育を多額のお金を投資続けてきました。
その結果、スタバが掲げるミッション「人々の心を豊かで活力あるものにするために— ひとりのお客様、一杯のコーヒー、そしてひとつのコミュニティから」、サードプレイスの提供として、圧倒的、揺るぎない地位を確立できたのでしょう。
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■参考
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