霧のプリズム
霧のナカを走るようにうまれてくるモノ
イメージの果てにあるモノにアクセスしてみる
ぼやけた視界から見えてくるモノに
それは結晶のようなモノ
”霧の中を走る”という言葉がよぎる
“霧”
1メートル先も見えないほどの感覚さえ鈍るような深い霧
昔、インドを旅した時に早朝の霧の中を次の目的地までバスで飛ばしていた。確か、ラージギルのあたりだったと思う。
バスは割と早い速度で、薄まった朝の道を進んでいく。
ドライバーが、私の知らない言葉で何か喋っていたけれども、きっとたいした意味は含まれていなかったと思う。インドではこのような天候は当たり前のようだった。
霧の中で恐れが生まれる
見えない怖さではなく、なにが見えてくるのかわからない怖さだ
限りなく白にちかいグレー中で、微かに映る
霞んだ森や樹木、水色の朝の光、
細道を抜けてゆくインドの女性たちが纏うサリーの色彩
彼女たちが歩くたびに揺れて、それは霧の中でプリズムを描く
見えてくるモノ
ふくまれるモノ
殻と淡い外の世界
その中を彷徨ってひとつひとつ色を拾う
かすかな線形とあいまいな色彩
Title : in the fog
/ photograph
/ Place : India
/ Yuko