一瞬、15年前のプラチナ通りに居た
千歳船橋に用事があり、そのままチトフナで昼食を食べることにした。
google map のキヨピンをチェックしつつ、街をざざざーーっと早足で巡って、良さげな店がないかチェックする。こういうことに限っては、ものすごい嗅覚を発揮して、なかなかいい店を見つけ出す私なのだ。
〈中華日和〉という町中華のお店を発見し、すかさず google map のコメントをチェックするとなかなかの評判なので、えい! と入店する。
厨房のステンレス壁さえもぴかぴかに磨かれ、清潔感に満ちた店内。もうこれだけで安心感。店内を丁寧に磨き上げる人が、料理を手抜きするはずなどないのだ。
フレッシュトマトとハーブのつゆそばなるものを見つけて、珍しいメニューにそそられて注文した。あと餃子は絶対食べたいので、注文。
おやじさんがひとりでつくっているのと、続々とお客さんが入ってくるので、「出すまで20分はかかるよ」っておじさんやらスタッフがお客さんに念押しするが、だれも「えー」とは言わない。「ぜんぜん大丈夫です」と、皆おだやかである。
20分も待った気はしなかったが、つゆそばが来た。いかにもあっさりであろう好感の持てる半透明スープに、湯剥きされたトマトがどーーーんと乗っかっている。そしてバジルやらミントやらが散らされ、白髪ねぎがもざもざっと乗っかって、なんともエキゾチックな香りを放っていたので、コロナ禍というのに、スーーーーっと鼻から息をだいぶ吸い込んだ。ああいいにおい。餃子もきた。テキパキながらも包むときに「旨くなれよ」と囁き声がけしてるんじゃないかってくらい、すっごく丁寧に包んであるのがわかる餃子だった。
まずスープを飲むと、やっぱり、あー丁寧な仕事してますなーの鶏塩味で、ますます高感度アップ。そして麺。なんとなくグレーがかった黄色いストレート麺。これを啜ったら、記憶が一気に15年前くらいに翔んだ。
かつて白金台のプラチナ通りに、きわめてシンプルな中華そば屋があって、職場が近かったものだから、何度となく通った。店主は中国の方だった。店構えも、店内も、ラーメンもすべてがシンプルだった、ということだけ記憶している。で、ちょっと麺がゆるめで、スープは鶏ベースの薄味で、はじめはぼんやりした味があまりおいしいとは思わなかったのだが、通うにつれ、その店の味の虜になっていった。でも、ある日突然店を閉めた。
で、その店の味がしたのだ。もう私、完全にプラチナ通りに居た。
なんだよ、会いたかったんだよ、君に!
舌の記憶とは不思議である。一瞬で戻れるんだもの、あの頃に。いろんなやなことも思い出して、ちょっと厄介だけど、でもやさしいあの味は、体全体の細胞に歓喜をもたらしてくれたのだった。
あ、餃子! やっぱりそうですよね、旨いに決まってました。あんな丁寧な仕事なんですもの。つゆそば完食したって、5つの餃子など簡単に胃に収まってしまう。
って、食べログかよ!? って日記になってしまった。
わ~、プラチナ通りのラーメン店の写真が載ってるブログがあるし!「拉麺」って名前だった! ああ懐かしい!