文章読本の進化型
「文章は接続詞で決まる」
本書のタイトルから、私がまず連想したのは、学生時代に法律の資格試験(主に司法試験)で大流行した論点ブロックだった。
論点ブロックとは論理の流れを論点毎に文章としてまとめ、問題に合わせて複数のブロックを編集列挙する。そうすることで司法試験のヤマである論文試験に巧く対処できると謳われ一世を風靡した。
そして、ここで重宝がられたのが接続詞だった。
例えば、以下のように。
まず、~が問題となる。
この点、~
しかし、~
そもそも、~
とするならば、~
そこで、~
接続詞を決め打ちして、そこに論理を流し込むわけだ。
これは本書第二章の内容そのものである。
こんな経験をしていたせいか、著者の石黒さんが、本書の8年後に『書きたいことがすらすら書ける! 「接続詞」の技術』を出したのは、私にはとても自然に思えた。
しかし、石黒さんは接続詞に関しては、そこでは終わらない。
前述の論点ブロックでは、単に論理の流れを作る接続詞をステレオタイプに選んでいたが、石黒さんは働きの似た接続詞でも違う性格があることをちゃんと指摘して言葉の個性を際立たせている。
それはまるで素人にはパンダが全部同じに見えるけれども、飼育員には個々が区別できるのに似ている(ような気がする)。
こうして、接続詞の個性がわかれば使う時を迷わない。
そして接続詞が決まれば文章にしまりがでる。
結果、他とは大きな差がつく文章が出来上がるということになる。
文章の書き方がわからない方は、この本を迷わず手にすればいい。
きっと大きな進歩が見られるはずだ。
この文章は普段よりも接続詞を意識して書いてみたのだが、さてさて読みやすさはいかがだったろう?