H-Law

読書、映画鑑賞、音楽鑑賞、ホークスが好き

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最近の記事

記憶との邂逅、記憶の懐胎

アイドルグループ櫻坂46のメンバー土生瑞穂をご存じだろうか? 雑誌モデル、ショーモデルもしているグループ屈指の高身長美貌の持ち主なのだが、同時に超天然でもある。 彼女は、テレビで見る昔の映像から、社会全体がかつては白黒だったとずっと思い込んでいたらしい。 そこまで行くと異常値だが、昔と現在が分断しているように感じるのは誰しも同じなのではないだろうか。 僕自身、アンリ・カルティエ=ブレッソンやブラッサイ、キャパのモノクロ写真を愛してやまないが、その作品は時間の流れから切りとられ

    • 山内マリコさんとお友達になりたい問題について

      本書「山内マリコの美術館は一人で行く派展」をはじめとした山内マリコさんの本を読むにつれて、僕の中で山内マリコさんに対してムクムクと湧き出る気持ちがある。 それが何かと言えば、 友達になりませんか? いや、友達になれる気がする(たぶん、きっと) という実生活では決して口にしない想いである。 そもそも、第15章で「キューレーターになりたい!」と言っときながら、「(実際にはなれないけれどね)」と本音が透かし見え、そこから「本を展覧会に見立てちゃえばキューレーターになれるじゃ

      • 文章読本の進化型

        「文章は接続詞で決まる」 本書のタイトルから、私がまず連想したのは、学生時代に法律の資格試験(主に司法試験)で大流行した論点ブロックだった。 論点ブロックとは論理の流れを論点毎に文章としてまとめ、問題に合わせて複数のブロックを編集列挙する。そうすることで司法試験のヤマである論文試験に巧く対処できると謳われ一世を風靡した。 そして、ここで重宝がられたのが接続詞だった。 例えば、以下のように。 まず、~が問題となる。 この点、~ しかし、~ そもそも、~ とするならば、~

        • 僕はボブ・ディランを少しは理解できるようになるだろうか?

          Bob Dylanに”Death is not the End”という歌がある。 初めて耳にしたのは、今から30年くらい前。NHKBSの世界の自然をナレーションなど一切なしに見せる番組のBGMで流れていた。 一聴して好きになって、再放送の時に曲のタイトルを見つけ、CDを買った。 ”Down in the Groove”。 ディランのファンから今でもほとんど顧みられることのない88年のアルバム。 「エンド・オブ・ライフ」の224ページで、早川医師が「亡くなる人って遺される人に

          本書を捨てよ町へ出よう! そう言える時代が来ますように

          マツコ・デラックスが焼酎のTVCMで 「この多様性の時代によ…(中略)…好きに飲ませてよ~」と言っているのを見るにつけ、「多様性の時代」とわざわざ断らなければならない社会の偏狭ぶりに鼻白む想いがする。 その多様性の正反対にある最たるものが、学校と会社だ。 しかし、ほとんどの人がそこに属しているのも事実。 そんな時代をサヴァイブする助けになるのが本書「もう内向型は組織で働かなくてもいい」である。 「私は外向型だから不要だわ」と思う方も中にはいるかもしれない。 しかし、多様性と

          本書を捨てよ町へ出よう! そう言える時代が来ますように

          リオーナはロボット兵の夢を見るか

          この本の翻訳者である岸本佐知子さんが反トランプ・ブックフェアの一冊としてこの本をツイートしていたと聞いて、フィルの行動を見ればそれもむべなるかな、と思う。 そもそも登場するキャラクターが人間ではない時点で読み手は寓話の世界に誘われ、寓話性が高くなれば物語の汎用性も高くなるわけだから、執筆時に想像すらしてないトランプが当てはまるのも当然だ。 しかし、トランプであれ誰であれ、ソーンダーズはそういった独裁者の愚かさを主題にすえたとは僕には思えない。 なにより、独裁者の愚かさを言う

          リオーナはロボット兵の夢を見るか