五月雨とプルキンエ現象
村下孝蔵の初恋を初めて聴いた時にふと思った。
“五月雨は緑色“というフレーズから始まるが、緑色とはどういう状態か。
色彩検定2級を持っている自分にとってはプルキンエ現象しか考えられないと思った。
プルキンエ現象とは薄明視のことで薄暗い時間帯に明順応から暗順応に変わる時に緑がかって見える現象だ。
日中明るい時は赤が、夜間は青が見えやすい。
さて、五月雨といえば梅雨の時期のことで湿度は高いし太陽光線は夏至とはいえ分厚い雲によってほとんど届かない。
その中で映える青や青紫の紫陽花。
どことなく憂鬱さを秘めた風景だ。
昔読んだ心理学の本に告白するなら日没後がいいと書いてあった。
感情が揺れ動きやすい時間なのだと。
これらを踏まえて歌詞を読み解くと、五月雨の雲が空を覆っていて心まで覆われてしまったような心情、薄暗いせいで明でも暗でもない生理現象と恋心の不安定さ…
作詞者がプルキンエ現象のことを知っていたのかどうかは分からないが、恋心をここまで美しい情景で表せる人はなかなかいない。
心動かす音楽は時の洗礼を乗り越えて輝き続ける。