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受付嬢時代にもらったプレゼントを質屋に持って行ったら50円だった話

クリスマスが近づくと思い出すことがある。

もう一つのブログにはあまり個人的なことを書いていないので、久しぶりにnoteで書いていこうと思う。

前職は受付嬢

わたしは日本で6年間OLをしたのち、年齢制限ギリギリのワーキングホリデーに行くと理由を付けなかば無理やり退職した。

ブラック企業で…とか、社員同士が仲が悪くて…と言ったことは無くむしろ平和だった会社員生活。

だからこそ抜け出すには何かの理由付けが必要だった。

当時は「オーストラリアに行く!!」と退職時に全社員へ向け声高々に宣言したものの、蓋を開けてみるといまはアイルランドで暮らしていて人生ってつくづく分からないもんだなと思う。

勢いよく辞めたは良いものの、すぐにオーストラリアへ行くこともなく、海外生活の経験が無かったわたしは「行きたいけれど海外生活が未知すぎて怖い……」とビビる日々。

そこで「とりあえず何かしよう!」と、思い立ちめたのが派遣での受付嬢の仕事。

これが本当に楽しかった。

特に、学生時代の飲食のバイト以来の接客業と、直ぐに打ち解け合って何でも話せた同年代の同僚たちの存在が刺激的だった。

最終的には人間関係のいざこざに巻き込まれたのと、契約を延長するなら自社で社員になれと言われ、その時にはアイルランド行きが決まっていたわたしはスパッと辞めた。

受付嬢に持っていたイメージ

一番に思いつくのが「出会いが多そう」ってこと。

受付嬢って表現がこのご時世にマッチするのかはいささか疑問ではあるが、当時の職名”コンシェルジュ”はしっくりこずむず痒いので従来の呼び方で書いていく。

ひとえに”受付嬢”と言っても様々で、わたしが担当していたのは、自社の顧客のみが利用できる共同オフィスでの接客業務。

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職場は東京駅に直結している誰もが知っているような大きなビル内だったので、総合受付で日々大量に来るお客さんを流れるようにさばいているタイプの受付嬢もいる。

不特定多数の人に会うことを「出会い」というならば、前前職の事務職とは比べ物にならないくらい多くの人と出会った。

一緒にカウンターに出ている同僚とは、互いの近況報告や将来の話、中でも一番の話題は恋愛について暇さえあれば話していた。

恐ろしいことに誰かが「○○社の鈴木さん、タイプです~」と言えばみんなが注目し、その情報は光の速さで共有される。

でもそこからいわゆるイメージしている恋愛的な出会いになることは無いに等しいと思う。(少なくても私の元職場では)

なぜならば会社名とフルネームをこちらは把握しているので、万一厄介なことになれば互いに自分の首を絞めることになるからだ。

でも中には「思ったら一直線」の猪突猛進タイプもいる。

暗黙のルールとTheオンナ社会

ちょっと話が逸れるのだが、受付業のルールについて少し触れておきたいと思う。

わたしの勤めていた職場では、お客さまから頂く差し入れを受け取ることに制限は無かった。

毎日同じお客さまと顔を合わせていたので、男女問わず自然と仲良くなり、東京駅と言う場所柄、日本各地の名産品や限定のお菓子などを頂く機会が多くあった。

けれどそれが個人宛てになると話が変わってくる。

「いつもありがとう、受付のみなさんで一緒にどうぞ」とお菓子の差し入れてくれるパターンがベストなのだが、個人的にプレゼントを頂く場合は厄介である。

情報交換が密な女性同士の中で個人的に渡すことは、渡す側も受け取る側もリスキーなのだ。

わたしは短期の派遣、オンナのいざこざはご免だったし、お客さんとあわよくばなんて微塵も考えていなかった。

……ところが、だ。

その時は突然に

そう、忘れもしない働き始めて1ヵ月が経とうとしていたクリスマスの夜。

おしゃれ好きなら知っているであろう、神奈川県の有名ブランドの紙袋を受付に持って現れた人がいた。

以下、彼の名はコッシー。

推定40歳のコッシーはタイに駐在しバリバリ働いていたところ、東京オフィスの立ち上げのために日本に呼び戻されたいわばエリート。

見た目はぽっちゃりで、頭が良さそうなメガネを掛けていた。

「どなたへお渡ししましょうか?」と聞くと

「○○さん(わたしの本名)に。クリスマスプレゼントだよ。」と。

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予想外の発言に思わず紙袋を受け取ったままの姿勢で固まるわたし。

と、同時に他の受付嬢の視線が一挙に我らへ集められた。

用事がすんだとばかりにコッシーは颯爽と帰宅して行ったのだが、問題はその後。

目をギラギラさせた同僚たちに開封してと言われ(もちろん業務中)、中身のスカーフを見るなり検索し値段を調べてる人もいた。

まじ怖えぇぇ......

社内で会う回数が増える

その日以来わたしが辞めるまでの3か月間、同僚たちは”コッシーがわたしに気がある”、という視点で彼を見続けることになる。

常設のオフィスを持っているお客さまは、共同スペースにはコーヒー休憩がてら顔を出すことは珍しくない。

だがPCを持ち込んで受付嬢の真後ろの席に長期間滞在したり、コーヒーを補充するためにわたしたちが休憩所に行く際、同じ人と頻繁に顔を合わせることはまずない。

最初は偶然もあるもんだ……とのんきに気にしていなかったけれど、ある日の閉館間近な時間にコッシーがわたしを探し練り歩いてると同僚が言ってきた。

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今思い返してみると笑い話なのだけれど、

「危ないから!!」

と無駄に正義感を前面に押し出してきた同僚がいて(のちにこのゴシップ好きの人のせいで社内が荒れる)、言われるがままに控室に入り隠れるようにして帰宅した思い出がある。

退職日にもらった名刺

でも社内でよく会う以外は受付業務に支障はなかったので、特段何かがある訳でもなく日々が過ぎて行った。

そしていよいよ退職の日。

帰宅前に受付に現れたコッシーは、みんなの見えない場所に来て欲しいと言った。

彼の神妙な面持ちに戸惑いつつも行ってみると、LINEのIDが書かれた名刺渡すとエレベーターに乗ってそそくさと帰宅。

「とりあえず今までのお礼でも…」と連絡してみると、え……彼氏なの?ってくらい日常生活の俺通信が届くので面倒になり静かにフェードアウトした。

いざ質屋へ

すっかりコッシーのことを忘れたころ、アイルランド生活への事前準備で進めていた断捨離の一環で、ブランド品を質屋に入れることにした。

元々ブランド品を多く持っているタイプではなかったけれど、かき集めているうちにクリスマスプレゼントにもらったスカーフがラッピングも当時のままの状態で出てきた。

同僚の調査結果によるとそれは10,000円程するそうで、新品タグ付きだし高値で売れるかも!と期待したのも束の間

「包み紙はそのブランドだけれど、タグが他社製なので…50円が限界です」

えぇぇぇぇぇ……

さすがにこの値段で売るのも気が引けたので、売らずに持ち帰りおばあちゃんにあげた。

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この一連の話は受付嬢仲間と未だに話すネタである。

どちらかが強い好意を持っていたら、今と違った未来があったかもしれないが......生理的に無理なタイプだったので(マジ失礼)、今と変わらない結果だったと思う。

しかし日本から遠く離れたアイルランドで、何も無かったコッシーについて3,000字も書いているわたしってw

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そうそう、全くの余談なのだが、当時わたしは糖質制限とグルテンフリーを肌質改善のためにやっていた。

体調は良好だったけれど、最高に不自由な食生活。

コンビニに行っても食べられるものがサラダチキンとサラダくらいですぐに飽きるし安くはない。だから手作りのお弁当をせっせと持参。

実は調理師免許も持っているくらい料理が好きなのだが、自分しか食べないお弁当作りに興味が皆無。

毎日サラダと蒸した鶏肉ばかり食べていた。

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こんな感じだったもんで、同僚からは料理が苦手なタイプなのだとずっと心配されていたのも今となっては笑い話。

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