10Vの差を見逃すな?クラスタ故障の代表格はこれだ!
※2022年12月9日に配信したメルマガのバックナンバーです
『太陽光パネルに異常に詳しい会社のメルマガ』vol.4
※「効率的な太陽光パネル点検のはじめ方」から改題しました
琵琶湖のほとりから
from 藤本 秀樹
皆さん、こんにちは。
アイテスの藤本です。
設計では開放電圧が
500V出るはずなのに、
490Vしか計測されないストリング。
これって正常だと思いますか?
天候の影響で電圧は変動するから
問題ないんじゃない?
そう思われている方は多いと思います。
でもね、実はここに
「クラスタ故障」が
隠れているかもしれないんです。
そのクラスタ故障の代表格が
「クラスタ断線」です。
断線というと、
ケーブルなどの断線を
イメージされるかもしれません。
しかし、
「クラスタ断線」は
太陽光パネルの内部配線が
切れてしまう故障のことを指します。
いわゆるバスバーや
インターコネクタと呼ばれている
セル上の電極が
切れてしまう故障ですね。
実はこのクラスタ断線、
パネルの初期不良でも
結構起こっているんです。
例えば竣工検査で、
ストリング電圧が
14直列、500Vが正常値だとしましょう。
これに対して
490Vや485Vといった電圧が出た場合、
誤差範囲内として
「正常」と判断される事があります。
しかし、
この10Vの差に「クラスタ断線」が隠れている
場合があるのです!
使用されている太陽光パネルの
VOC(開放電圧)が
「38V」だった場合、
これを晴天時の屋外で測ると恐らく
「35V前後」になるはずです。
その場合、このパネルの
1つのクラスタの電圧は
「13V弱」になります。
前回のメルマガでご紹介しましたが、
一般的な太陽光パネル(結晶系)は
1枚のパネルの中に
3つのバイパス回路があります。
このバイパス回路で区切られた
セルの集合体が「クラスタ」です。
バイパス回路が三つなので、
1つのクラスタの電圧も
大体三分の一になるわけですね。
「クラスタ断線」が発生すると
断線が発生しているクラスタの
バイパス回路が動作し、
そのクラスタを切り離してしまいます。
そして、
クラスタの電圧分の約10V分が
ストリングの全体の電圧から
低下してしまうわけです。
これがクラスタ断線による
10V低下の原因です。
太陽光パネルの
最小単位はセルです。
しかし、
発電が行われる基本単位は
クラスタであることは
是非意識して下さい。
もちろん天候の変動で
10V低下する場合もあります。
なので、この10Vの差が故障なのか、
天候(影)の影響なのかを
判別する必要があります。
そこで有効なのが、
インピーダンス測定になります。
天候や設置環境によって変わりますが、
故障が発生していない場合、
インピーダンスは10Ω前後で推移します。
それに対して、
開放電圧がクラスタ断線によって
低下している場合、
内部抵抗値が100~1000Ωといった
高い値になります。
天候や影の影響で
電圧が下がっている場合は、
時間帯を変えて
測定すると正常値に戻ります。
例外もあるのですが、
これについては次の機会にお話しいたしますね。
それでは皆さん、またお会いしましょう。
ありがとうございました。
太陽光パネルに異常に詳しい会社
株式会社アイテス 藤本秀樹
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