Stayin' Alive
書けなくて悶々としていた。
物理的に忙しかったこともあるけれど、一番大きかったのは心理的な部分。
人から否定されることには、なかなか慣れるものではない。
ましてそれが想定外な意見なら聞き流すことも出来たであろうけれど、自覚もしている部分だからこそ余計に辛い。
髪を切りに行った。
いつも通りでいたつもりだったけれど、「こんにちは」とドアを開けた直後に長年の友人は険しい顔で奥からツカツカやって来て、ちょっと髪を触って「また仕事辛い感じ?」と秒で言い当てた。
「貴女はさ、まず一番に髪に出るから」
そういえば去年もこの頃、小指の先くらいのハゲが出来たのだった。
「今はまだ大丈夫だけど…無理かもしれないけど、仕事もう少しセーブ出来ないの?」
ポツポツと仕事の話をしていたら、何だか急にポロポロと泣いていた。
アシスタント君にティッシュを箱ごと持って来て貰いながら、「なんかさぁ、昔から仕事のことばっかだよなー。失恋とかで髪切りに来て、泣いたことなんて無いんじゃない?」と古い友人は呆れたように言った。
そうかもしれない。
だけど、泣けるのは心を許している、信頼しているということだから。
貴方が友人でいてくれて、良かったよ。
切った髪と共に、ほんの少し心も軽くして貰った。
遡って結婚記念日。
珍しく夫が当日に花を背負って帰って来た。
その何日か前から私が相当厳しい顔をしていたのに気づいていて、その日の朝「あんまり溜め込むなよ」と両手で頬を包み込んでくれた。
「のほほんと穏やかにしてて、時々抜けてるのがSolaの一番良いところなんだから」
改めて言われて、ちょっと驚いた。
そんな風に言われたことは、今まであっただろうか?
長いこと一緒に暮らしていても、完全に理解し合うということは出来ないけれど、それでも恐らくお互いの事を誰よりも理解し、何が私にとって心地良いのか常に考えてくれる存在。
このところずっと、次々と起こる問題に対処するのでいっぱい一杯だった。
しっかりしなければという思いが強かったけれど、夫は本当はしっかりした私を求めてはいなかったのだと、今さらながら気付いた。
世の中を上手に泳ぐことよりも、自分の楽な泳ぎ方で、心に余裕を持っている事の方が本当は大事なのかもしれない。
Stayin' Alive.
自由に、心の赴くままに。