DAY10,僕らが飛ぶ意義(WTBF)
オーダーメイドの完成
前日は新鮮な気持ちでフライトが楽しめ、もうすでに後半戦に突入したサウジアラビアの旅。
この日イエローチームはフライト予定がなく、午後からデザートサファリツアーに行く予定でした。午前中は時間が空くので、Aさんが調達したレンタカーでAl Uraの市内へ行くことができました。
朝は市内のカフェでゆったり朝食。
その後、2日前に「どうせ買うなら良いものを買いたい」とオーダーメイドした伝統衣装「トーブ」を受け取りに行ってきます。
トーブとはサウジアラビアの男性が来ているワンピースのような伝統衣装。
実際現地では白が圧倒的に多いものの、黒やネイビー、グレーなど色付きを来ている人が結構いて、皆おしゃれを楽しんでいるようでした。
生地や色、襟の形からサイズなどを自分好みに選んだうえで採寸してもらい、世界に一つだけの自分のトーブが出来上がります。
最近日本の熱気球では、ドバイなど中東の大会に行くパイロットが多く、トーブやターバンを買って持っている人が多いのです。
私もうらやましく、SOLABASEでそのうちアラビアンパーティーを開催したい思いもあり、購入しました。
生地はネイビーで、襟はスタンドカラー、前はボタンで留めた形で、200リヤル(日本円約6000円)頭のターバンもセットで購入し合計300リヤル(約9000円)でした。
試着して、サイズもぴったり!(着た姿は今度のアラビアンパーティーで)
ほぼ着る機会はないのですが、またサウジに来ればいいのです。世界に一つだけの伝統衣装で、これだけの値段であれば大満足です。
その他にも「Cream21」というプロの看護師も利用する、効き目抜群の保湿クリームがありました。
ドイツ製ですがサウジでは日本の10分の1以上安く買えるそうなので、スーパーやオーガニックショップを回って根こそぎ買いあさりました。
その他デーツやコーヒーなどもあったのですが、ゆっくり見る時間がなくタイムアップ。またの機会があることを願い、この日はランチとサファリツアーに移動しました。
サファリツアー
そして午後からはサファリツアー。
ランクルに乗って岩山の展望スポットや、岩の間の砂漠をドライブしていきます。
特に砂漠のドライブは急角度の坂やバンクを勢いよく駆け抜けていくので、迫力満点のアトラクションでした。前日にダカールラリーを見ていたこともあり、「ドライバーはこんな感じなのか~」と思いを巡らせていました。
が、後々Youtubeで見ると、僕らの体験はせいぜいサポートカー程度のスピードで、少なくともダカールはそんなもんじゃありません。ただそれだけ、砂漠の上のドライブはかなり激しいってことです。
所々見晴らしのいい場所でストップしていきますが、ある休憩所で16時になると、ドライバーが一斉にお祈りし始めます。
その後、絨毯を砂漠の上にひき、真ん中で焚火を組んで、ブレイクが始まりました。
あらかじめプレートで用意されたトルティーヤのようなものを食べ、アラブコーヒーと紅茶をたしなみながら、ドライバーたちの現地の歌を聴いて楽しみます。
ドライバーたちが英語を喋れないのは少々難点でしたが、将来ここがカッパドキアのように、気球といろいろな体験が組み合わされた観光都市になる可能性を、存分に感じた体験でした。
平和のために飛ぶ
実はこの前日に、イランからアメリカ駐留基地へミサイルが発射された、というニュースが飛び込んできました。最初は50人死亡などの記事も出ていたので
「こりゃ帰れなくなるかも。。」
と、最初はよぎりました。むしろこのタイミングの良さにびっくりしたほうが大きいかも。
発生直後はちょうど夕食をとっていた時でしたでしょうか。皆騒然としました。ただ、大会側からは何のアナウンスもなく(おそらくそんな余裕もなく)ネットを通じて得られる情報を頼りに、経過を観察するしかありませんでした。
翌日には死亡情報は訂正されましたが、サウジアラビアからそう遠くはない国での出来事だったので、直接の影響はないものの、帰りの飛行機や機材の輸送などに何かしらの影響が出ることが心配されました。
熱気球は有事の際はすぐに飛べなくなる乗り物だし、観光気球や気球大会も同様に、平和でなければ飛べません。
世界が平和であるために、いつまでも気球が飛べる世界であるために、私たちは飛びたいし飛ぶ環境を維持していきたい。
世界中の人に熱気球の魅力を伝え、熱気球が飛べる環境にあってほしいと思ってもらうために、もっと飛んでもっと気球を広めていく。それがパイロットの使命の一つでもあるのではないかと思います。
ただ気楽に飛んでいるように見えるが、その気楽に飛べる平和が有難く、
「飛び続けるということも、大事な平和活動なのではないか」と、
考えるきっかけになりました。
つづく
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