DAY13,聖地(WTBF)
洗礼
前日夜にヨーロッパ組が出発してしまったので、アーティストキャンプには日本組のみが残り、この日の朝を迎えました。
前日の記事はこちら
朝食はなく、10時ごろ出発予定のMadina(空港のある街)行きのバスを待ち、9時過ぎから外でうろうろしてました。
するといきなり部屋の水が出なくなるトラブル。
Madinaまで6時間以上のドライブなので、ちょうど何人かトイレで用を足そうと思っていたものが、流れなくなってしまいました。
ここまでトラブル続きだと、さすがに神様のいたずらにも思えてしまいます。
しばらくすると水道の故障だったようで、なんとか回復しました。
にしても、最終日まで油断するなよ、というメッセージのようにも思えました。
予想通り
そして出発の時間が近くなると、主催者の皆が出迎えに来てくれました。
ただ約束の時間になっても、予想通りバスは来ません。
手配したと言ってるのですが、本当に来るのか?何時間待つことになるのか?
ただもうこの頃になると、これくらいはちっぽけなトラブルで、笑って待っているようになっていました。
慣れって怖い。
30~40分くらい待ったところで、ようやく到着。1時間くらい待たされる覚悟はしてたので、早く感じたのは私だけじゃないはず。
40人乗りの大型バスを15人で貸し切りし、悠々とMadinaに出発しました。
このバス移動のさなかでも、12時ごろになると途中で運転手がモスクによろうとします。結局この時は開いてるモスクがなかったみたいで、入らずUターンだけしましたが、イスラム社会を感じる一瞬でした。
ちょっとした出会い
またAlUraからMadinaの途中の休憩所は田舎町なので、英語表記がほぼありません。昼食に寄ったサービスエリアも、食堂のメニューが全く分からず、頼みようがない状態。
そんな時「How are you?」といきなりイケメンなおっちゃんに英語で話しかけられました。
無視しようとおもったけど、「ん?英語?」
と思い慌てて戻って
「メニューが全然読めないから注文するの助けてくれない?」
とお願いしたら、めちゃ親切におすすめのタコスのようなものを注文してくれ、さらにおごってくれちゃいました。よく話すと近くに住む有力な人っぽくて、そのうち日本にも行きたいみたい。
お礼を何も持ち合わせていなかったので、とりあえず連絡先を渡しておきました。
こんな出会いが本当に面白い。
その場はそのまま後にして、Madelina にまたバスを走らせました。
聖地へ到着
約6時間後、MadelinaにあるAl Eiman Hotelに到着。
ここで日本チームは別々にホテルを予約していたので、3チームに分かれて一泊します。翌日の飛行機でそれぞれ帰国したり、ドバイで豪遊しに行ったりに分かれます。
Madinaはメッカに次ぐイスラム第2の規模を持つ聖地であり、そのすぐそばにホテルをとりました。
Medinaについてはこちらをご覧ください。
モスクから大きな円状に道路が囲んであり、その道路の内側はイスラムしか泊まれないらしい。
事実、2チームはエアポートホテルと、聖域の境界道路を挟んで外側にホテルを変更していました。
僕らのチームは内側にホテルを予約してしまったのですが、
「ホテルに聞いても返事ないし、ダメならエアポートホテルに変更でいっか」
と、楽観的にチェックインに臨みました。
するとその間に、道路の外側にホテルをとっていたチームがなんと、支払い直前に入室拒否されたとメッセージが入りました。
外側でダメなら内側はもっとダメじゃないか?と思い、恐る恐るフロントに確認しに行きました。
イスラムのノリ
「すみません、僕らムスリムじゃないんですけど、チェックインできますか?」
「ムスリムじゃないの?じゃあ何?仏教?クリスチャン?」
「ん~僕らの国は一応仏教だね」
「OKOK、したらアルコール持ってる?」
「いやまさか、持ってないよ」
「なんで?飲みたくないの?俺はウォッカが大好きだよ!ウォッカ好き?」
「いや、まぁ日本では飲むけど、さすがに持ってきてはいないよ。」
横にいるマネジャーっぽい人を指さして
「なんだ~彼なんかウォッカを隠し持ったミニバーを自宅に備えてるよ、なぁ?」横の人苦笑い
「いいのそんなこと言って?とりあえずチェックインは大丈夫?」
「大丈夫だよ。君たちみたいな外国人は珍しいんだよね。」
と、格式高めのホテルでしたが、かなりノリのいいフロントで、気が引けるほど突っ込んだ会話を繰り広げた末に、チェックインの確認が取れました。
ホテルは僕らが大会中泊まったArtistCampとは、雲泥の差のきれいさ。これで1部屋3人で15000円。ArtistCampのぼったくりを実感しました。
日本の力
この日に限ったことではないですが、この遠い国サウジアラビアでも、日本人の評価はすごく高いということを実感しました。
町中にはTOYOTA、NISSANの車が走り、最初は「中国人か?」と声を掛けられるけど「日本人だ」というと、途端に態度が変わりウェルカムな雰囲気になる。
それはAlUraの田舎でもMadinaの都市部でも同じでした。多分休憩所のおじさんも、ホテルのフロントマンも「日本人なら大丈夫だろう」という信頼感がどこかにあったから親切にしてくれたんだと思います。
日本に生まれたことがどんなに恵まれたことで、どれだけ築き上げたくれた恩恵を受けているか、実感することが多々ありました。
モスク見学
17時ごろにチェックインして、お腹がすいたのでモスク周辺を散歩がてら食堂を探すことにしました。
モスク周辺は15~20階建て程度のホテルが多数立ち並び、その1階にお土産屋(大抵がお土産用の洋服、金装飾、お菓子などの売店)が立ち並びます。
所々にハンバーガーやケバブなどのファストフード(全部テイクアウト)が入っています。
そしてスタバやダンキンドーナツがあると、そこには長蛇の列!
なんだかんだ西洋のお店は人気があるらしいです。
ちょうど夕日が落ちる時間で、モスクがライトアップされていましたが、それはそれはとても大きな建物で神秘的な雰囲気をまとっていました。
女性用と男性用の入り口が厳格に分けられ、周辺には宗教警察がしっかり警備しています。
ある程度敷地の中までは入れるのですが、モスクへの内部は警備の人に確認したら、やはりだめでした。
信仰
18時直前になると町中が慌ただしくなり、お店は閉店準備をします。
すると突然町中に響くようなマイク放送が響き、町中の人がモスクに走りお祈りが始まりまうす。間に合わなかった人はその場でお祈りします。
通りから一気に人混みが消えて、観光客以外は皆、ひざまずき始めました。
これだけの人が信仰している姿を目の当たりにすると、人を動かす宗教の力の尊さと、少しの恐れを感じる程の迫力がありました。
僕らはあまり求めていた食堂がなかったので、ケバブなどを買ってホテルで食べることに。
ただこれをオーダーして作ってもらっている途中に、またお祈りの時間が近づいてきたらしく、お店のスタッフはめちゃ慌てるし、お客は早くしろ的な声をあげてるし、なんだかとっても大変そう。
でもこれをしっかり続ける信仰の力は、なかなか日本人には理解しがたいものかもしれませんが、その敬虔な姿勢は、今まで訪れたどの国よりも感じることができました。
明日はサウジアラビアを出発する日。もうトラブルには巻き込まれたくないように祈りつつ、この旅を振り返りたいと思います。
つづく
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