異世界人来たれり#2
長門有希の部屋から出た後、なまえと古泉はしばらく無言だった。
懸念事項がなまえではなく古泉であることに、古泉本人は非常に不満があるらしい。眉間に皺が寄っている。
数十分の空白の後、なまえはあることを思い出す。
「古泉、くんは学生だったのか。」
「今更ですか。」
古泉が学生服ではなかったため気付くのが遅れてしまったのだ。
というか、成人女性を部屋に連れ込むような男を学生だと思うはずもないのだ。
「それじゃあわたしは未成年のヒモになるのか!?」
大変だ、大大変なんだ~とおろおろしだす。
その様子を見た古泉はちょっと引き気味だった。
「はあ、あなたみたいな大人ばかりなんでしょうかこの先の未来は…」
「そんなことはない!たぶん…でもね、あなたの言う通りここが2003年だとしたらわたしはまだ幼児なのよ。つまり年下なんだから。あ、待って、もしかしたら幼児のわたしに会えるのでは?」
ひらめいた!といったような顔をした#名前#をみる古泉は、本当に成人しているのだろうかと疑わしく思うのであった。
「あなたの元居た場所に戻れるかどうかもわかりません。今の時点での確定事項です。
それと一つ訂正していただきたいのは、あなたを部屋に連れ込んだわけではなく、あなたが部屋に入り込んでいたのですからね。」
ちょっと怒ったように言う古泉に苦笑いを返す#名前#だった。
「ともかく、あなたは僕たちにとって危険因子でしかない。これからは僕の監視下に入っていただくので、覚悟していてください。」
そう言う古泉の目は鋭く光っていて、なまえは小さく悲鳴を上げるしかなかった。
「ということで、あなたには僕と同じ行動をとっていただくために学生になっていただいます。」
始まりとして至極わかりやすい説明ありがとう。
つまりはこういうことだ。
古泉一樹は涼宮ハルヒを観察するために一番近い形として北高とやらに編入した。
めでたくSOS団とやらに入って、少しは平穏な生活になってきたと思いきやわたしという存在が現れた。わたしは一般的に言う異世界人らしい。はて、どこが一般的なのか。SFにもほどがあるのではないだろうか。
それはさておき、古泉たちにとって正体不明のわたしは監視下に置かれることになったということだ。
「軟禁じゃないんですね。」
「まずは日常のあなたを観察しようということです。内容によっては軟禁ならず監禁します。」
顔も目も笑っていない。キョンくんたちの前では猫をかぶっていたのか、端整な顔立ちから表情がなくなるとこんなにも恐ろしいのか。
「編入手続きはもう済ましてあります。制服も用意しましたので、来週の月曜日から早速高校生になってもらいますからね。」
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