【週刊ダイジェスト・海外フェムテックニュース】英フェムテック・スタートアップ “Hertility Health” が約6.3億円を資金調達 ー 女性の生殖健康にまつわる情報をよりオープンに

今週、イギリスでとあるフェムテック企業が話題に。
女性のホルモンや生殖にまつわる健康管理サービスを提供する "Hertility Health"の記事を翻訳しました🍊

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UK femtech startup Hertility Health lands €4.8 million to revolutionise the world of hormone and reproductive health

英フェムテック・スタートアップ “Hertility Health” が約6.3億円を資金調達 ー 女性の生殖健康にまつわる情報をよりオープンに
著: Charlotte Tucker
2021年6月16日

英フェムテック・スタートアップの “Hertility Health”*が2021年6月16日、約6.3億円のシードラウンド資金調達を発表した。引受先には、LocalGlobe, Venrex, エンジェル投資家であるBupa(Bupaの前CEO), Matt Robinson (NestedとGoCardless CEO)などがいる。

Hertility Healthは2020年のコロナ禍に、マタニティ休暇中だった3人の科学者(下写真)によって設立されたイギリスのフェムテック企業だ。高額なお金を医療機関に払って診察してもらわない限り不妊や生理にまつわる情報を十分にアクセスできないことを問題視している。この分野の研究を促進させ、情報をよりオープンにすることで、全ての女性が自分の体に対する理解を簡単に深められることを目指す。自分の体が分かることで、自分の人生をコントロールしやすくなるからだ。女性が自分の体を理解するために、ややこしい手続きや高額なお金を払うのはナンセンスなのではないか、と問題提起している。

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今回同社が調達した資金は、同社のプロダクト開発の拡充に隔てられる。現在のプロダクトには、不妊治療や女性ホルモン検査、閉経・流産・産後ケア、多能法制卵巣症候群や子宮内膜症検査の情報提供などがある。

また、同社は婦人科系疾患の診察・診断にかかる時間を短縮するための臨床試験を行なっている。試験の質を高めるためにも資金を隔てる。

女性の生殖健康にまつわる科学的情報を提供するハブとして機能する同社は、この資金を用いて業界を牽引するメジャープレイヤーになることを目指す。ちなみに、この業界の市場規模は25年には5.5兆円になるとされている。

これまでに2000人以上の女性が同社のサービスを利用している。世界トップクラスの専門家と連携し、卵子凍結や体外受精の手続き案内などもしている。繊細なトピックであるからこそ、不妊治療のカウンセリングも行っている。

CEO兼設立者のDr. Helen O’Neillは「生殖健康に関する情報があまりにも社会に出回っていない。それは、社会から『婦人科系の体の悩みや不調は、高額なお金を医療機関に払わない限り提供してあげない。払えないなら、無知のままでいて我慢して治すしかない』と言われているようなもの。自分の体を知る権利はみんなにあるのに、これはおかしい。情弱でいざるをえないでいる女性たちの中には、自分の体に合っていない避妊薬を10年も飲み続けている人がいる。この情報の非対称性は女性の体に深刻な影響をもたらす」と話す。

同社の調査によると、5人に1人もの女性が同社の検査サービスを通して婦人科系の病気が見つかっているという。

今回の資金調達の引受先の一つであるLocalGlobeのJulia Hawkinsは「世界トップクラスの専門家、研究者、科学者らがHertility Healthにいる。間違いなく医療・フェムテックの業界に革命を起こすであろう」と話す。「Hertility Healthと共に、女性の健康管理の質向上に貢献できることができて嬉しい。安価でアクセシブルで正確な情報やソルーション提案の需要は女性たちの間で高い」

コロナ禍で、婦人科系病気のカウンセリングや診断はリモートで行われるようになった。ただ、この医療サービスを受けられるまでも厄介なのだ。イギリスの国民保険サービスの設けるガイドラインによると、不妊治療の支援を受けられるのは、12ヶ月間は積極的に妊活を行っていたことを証明できる人のみに限定されている。しかも、そのカップルは異性愛者同士でないといけない。もしくは、最低3回は流産を経験していないといけない。

7組に1組のカップルが不妊で悩んでいる。この多くの人たちにとって国民保険サービスの厳しいガイドラインはあまりにも厄介なのだ。もちろん私費で高額な医療費を払えるならば、プライベートで不妊治療を受けられる。でも、ほとんどのカップルはそんなお金を捻出できる経済的余裕はない。婦人科系病気の情報は高額であり、アクセスしにくいのだ。Hertility Heatlhはこのコストを劇的に下げて、情報アクセスをしやくすしているのだ。

Hertility HealthユーザーのEmily Championは「Hertility Healthは私の人生を変えてくれた。不妊の悩みというものは、本当に苦しいもの。治療の情報をかき集めるために相当な労力とお金を使わないといけなくて。自分の体を知るために、なんでこんなにもストレスを感じないといけないの?とずっと思っていた。Hertility Healthのおかげで、不妊治療の情報や申請手続きが楽になった。多くの女性の人生を劇的に変える企業だ」と話す。

Hertility Healthは今後も、ヘルス・医療・フェムテック業界において大きな変革を起こしていくであろう。

注釈
* Hertility Healthの意味 - 「生殖」を意味する “Fertility” の 頭文字 “Fer”を、「彼女」を意味する “Her”に置き換えている



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