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鎌倉五山周遊 「いざ鎌倉」 戸塚駅

横浜市営地下鉄ブルーライン戸塚駅にて下車。

駅のホームに足を踏み入れると、
車内との気圧が変わったせいか
地下鉄特有の生ぬるい風が額にあたる。

マスクを着けていると、
特に冬は気温を推し量る皮膚の露出の面積が狭くなる。

気温の変化に鈍感となってしまう。

そう考えながら、4,50段はあると思われる、
地下鉄の改札へと導く階段の右側をのそのそとのぼってゆく。

階段を登り切ると、左側に改札口が7,8台
無味に並んでいる。

関東に来てもう1年になるが、
未だに使っているICOCAカードが入った使い古しの小銭入れを
改札機に触れるか触れないかの距離で”タッチ”する。

たまに反応しないが、
勝率は五分五分といったところだろうか。

JR線の改札口に向かう。

新宿湘南ラインの逗子行の発車時刻を横目に
改札機を通過。

今度は地上ホームに向かって上る階段なので、
大寒を来週に控えた相模の国の気候は
盆地上がりの関西人を寒風で迎えてくれている。

目指すは、中国南宋時代より伝わった、
日本における禅宗の始点、鎌倉。

JR線で、戸塚からは約12分、3駅。

次の大船駅を越せばもう鎌倉界隈である。

九世紀ほど前の歴史に思いを馳せつつ、
12:31発の列車に足を踏み入れる。

降車する人、乗車する人、
せわしなく人と人との間を縫うように先を急ぐ人、
手袋越しにも温かに手をつないで歩幅をそろえて歩く老夫婦。

そんな人々の行き来を眺めながら、
義務教育時代に学習した鎌倉時代の最低限の知識を携えて、
フィールドノートをジャケットの右ポケットに忍ばせ、
武者震いを抑えられずマスクの下で口角をあげている私。

左腕につけた時計は、
丁度12時31分を回ったところだ。



【ぜあみ後記】
コロナ渦というのもあり、あまり外に出られず
暫く家に引きこもっておりました。
漸く少しずつ外に足を運びつつ、
考えたこと、思ったことをフィールドノートに書き留め始めました。
毎週できるだけ連載していこうと思っておりますので、
どうかお付き合いください。

なお、時勢柄、人との対面コミュニケーションが減ってきており、
巷では「シャムズ」というコロナで気がやんでしまう人、という意の言葉も
出回っているようです。

どうか読者の皆様、先の見通しがつき辛い状況が続きますが、くれぐれもご自愛ください。

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