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部活動(サッカー)指導をやりたくて中学校教員になった『そい』と申します。

平成元年より小学校教師を6年勤め、新卒時より地域のサッカー少年団や、地域の中学校のサッカー部外部指導者を経て、7年目より念願の中学校教員としてサッカー部顧問を務めて今年で35年目を迎えました。

新卒時は16時に退勤してからの『サッカー指導の時間』こそ、一番やりたいことをやる時間という感覚であり、勤務時間など考えたこともありませんでした。

子供達が目を輝かせてサッカーに取り組む。そんな練習を通じて、サッカーが上手くなる。
そしてチームが強くなる。

そんなところに喜びを感じて、放課後のサッカー指導に没頭してきました。

そんな私も自分の結婚を機に『家族の時間』をいかようにして確保するかという問題にぶち当たります。
自分の子供の運動会や学習発表会などとチームの試合ができるだけ重ならないようにするよう調整をしたり、審判の調整を行なったりすることを経験します。

と同時に、選手達にも家族があり、中学校生活は人生の中で一度しかない貴重な時間であり、選手達の家族の時間も保障しなければならない。

そんなことを考えるようになりました。

そして、世界中に広まったコロナパンデミック。

いやゆる『コロナ禍』
学校が休校になり、中体連が中止されるという非常事態を経験。

その後、部活動ガイドラインが設けられ、教師の手から地域へ移行されるという流れの真っ只中に現在あります。

指導者の確保や、施設の問題など色々な課題があり、100%納得のいく解決策は今のところはありません。

ただ、部活動は問題誰の為にあるのか。
この大前提をきちんと考えなければ、盛んに行われている部活動の議論も本末転倒になってしまう危険性があります。

今回はそんな部活動について思うところをお話しようと思います。


そもそも部活動は誰の為にあるのでしょうか?

そんなの言うまでもなくなく
『生徒達の為にきまってるでしょ!』
という声が聞こえてきそうです。

コロナ禍を経験した中で
『部活動がなく、いつも定時で帰ることが当たり前である』
ことに気づいてしまった私は、今まで以上に『部活動は何のために行うのか』ということを考えるようになりました。

ちなみに、学習指導要領には次のように記載されています。

第1章 総則
第5 学校運営上の留意事項/第6款 教育課程外の学校教育活動と教育課程の関連が図られるように留意するものと
する。特に生徒の自主的、自発的な参加により行われる部活動については、スポ ーツや文化、科学等に親しませ、学習意欲の向上や責任感、連帯感の涵養等、学 校教育が目指す資質・能力の育成に資するものであり、学校教育の一環として、 教育課程との関連が図られるよう留意すること。

※ 中学校学習指導要領(平成29年度告示)より


つまり『教育課程外』ではあるけれど『学校教育が目指す資質・能力の育成に資するもの』だから、学校の教育の一環として教育課程との関連を図れ
という性質のものなのです。

ところが、教育課程外の活動のため、標準時数なども定められておらず、練習が過熱化して、子供や教師の負担になっているという声も上がってきました。

「お前達、勝ちたくないのか!」
「はい!勝ちたいです!」
「なら、歯を食いしばって頑張れ!」

私が中学生だった昭和の時代はそんな時代でした。

喉が渇いても運動中は水を飲んではいけない

なんとも理不尽で非科学的な指導がまかり通っていた時代。

それでも、勝てる指導者に保護者も生徒も感謝し、そんな指導者は『優秀な指導者』と言われていた時代。

しかし、その影では、理不尽で過度のな練習によって、精神をすり減らし、学校を卒業後は競技を辞めてしまう『燃え尽き症候群』と言われるような現象が問題として取り上げられるようになったと記憶しています。

しかし、これは何も昭和だけの話ではなく、現在でも、世間から優秀な指導者と言われる方々が『パワハラ指導』として訴えられニュースを度々見聞きします。

そこで2018年スポーツ庁から次のような通知が出ました。


このガイドラインができたことで、部活動のない日は定時で帰るように心がけると共に、できるだけ大会は土曜日に行うようになり、日曜日は生徒も教師も休めるようになりました。(とはいえ、平日は勤務時間を超えて活動しているという課題は依然としてあるのですが)

しかし、こんなガイドラインがあってもこれを守らない指導が現場にはあったりもします。

往々にして『強豪』チームを育て上げている人の中には、『パワハラ』と訴えられて名声と信頼を失うというニュースを見聞きます。

そんな彼らだって誰の為にやっているのか?
と問われれば、
自分の家庭の時間を犠牲にしてまで、『生徒のため』に頑張ってきた!
と本気で言うでしょう。

しかし、指導者の心理を掘り下げてみると、果たしてそれは本当に生徒(選手)のためなのか?

私は疑問を感じています。


勝ちたいのは教師では?


端的にいえば、勝ちたいのは教師なのでは?(教師の気持ちが生徒よりも先行している)

と言うことです。

何を緩いことを言っている!
勝ちを目指さない緩い指導では子供達は、努力の尊さを学べない。

そんな声も聞こえてきそうです。

でも、でも本当にそうでしょうか?
厳しくやれば生徒(選手)は育つのでしょうか?
ゆるゆるとやることで学べることはないのでしょうか?

いくらその時に優勝したとしても、心も体もボロボロになって『燃え尽きて』しまい、中学時代や、高校時代競技を辞めてしまう。

長い人生でスポーツを生涯楽しむという選択肢を持てない生徒(選手)を出して、それで良いのでしょうか。

自分が厳しい指導を受けた。
そのおかげで今がある。
だから生徒にも同じ指導をする。

そんな指導で本当に良いのでしょうか。

指導とは心・技・体のトータルなマネージメントによって、生徒(選手)のやる気を育み、そんな彼らを見守り・支えることだと私は思うのです。

心が挫けるような声かけは暴言以外の何ものでもありません。
理不尽さで鍛えようと言う発想はパワハラです。

いくら「あいつのためを思って言った」と言っても、通じなければ意味がないのです。

「上手になって欲しくて」「強くなってもらいたいから」と言っても、生徒(選手)がその指導を苦痛に感じていたら、意味がありません。

「最近の生徒は弱い」と生徒(選手)のせいにしてもいけません。

変わらなければならないのは指導者の方です。

目の前にいる生徒達が、目の色を変えてやる気になる、トレーニングをオーガナイズする。

上手い下手を超えて、みんなが競技を楽しみながらも、切磋琢磨できるトレーニング環境を整える。

チームの目標を教師と生徒(選手)、選手(生徒)同士が共有できるようなマネージメントを心がける。

このような姿勢で日々の指導にあたれば、パワハラなど生まれるはずはないと思うのです。

教員(指導者)は生徒(選手)の未来に触れている

優勝させてあげたい!
そんな高みを経験させたい。
それはそれで素晴らしい考えだと思います。

しかし、それが教員(指導者)だけの思いで、生徒(選手)と共有されなけば、思いが一人歩きして、パワハラに行き着くこともあるのではないでしょうか。

「俺はこんなに頑張っているのに!」
そんな思いがムクムクと湧いてきた、ちょっと深呼吸して、目の前にいる生徒(選手)の5年先10年先を想像してみてください。

彼らと過ごしている今が、彼らの未来にどんな影響を与えているか。

彼らと過ごした時間がかけがえのない時間となって記憶、財産として残るものと言えるか?

今は、嫌われてもいい。
後になればきっとわかる日が来るから

と自分の経験を生徒(選手)に当てはめてはいないでしょうか。それがパワハラを生む土壌なのです。

勝っても、負けても、
この仲間(この指導者)と出会えてよかった。
そんな思いを持って卒業してもらえたら、それだけでも大成功だと私は思うのです。

競技力の高い生徒は、それを活かした進路に進んでもいいでしょう。
競技力の低い生徒は、楽しみながら競技と関わる方向もあるでしょう。
または、指導者としての道を歩む生徒(選手)もいるかもしれません。


父親として、母親として子供達にスポーツの楽しさを教えられる親になるのか。

あんな思いは子供にはさせたくないから、部活(スポーツ)はさせない。

自分の指導がそんな未来線を作ってしまう可能性があるのです。

もう一度言います。

教師(指導者)は生徒(選手)の未来に触れている。
その未来を想像してください。
今の指導の先に明るい未来が拓けているような指導をしているか?
そんな責任と覚悟を持たなければならないと思うのです。

以上偉そうなことを書きました。
全て自戒の念を込めて、お話でした。

おまけ


自分の指導はこれでいいのか?
いつも思い悩むところです。

その答えは生徒(選手)達を見ればわかります。

生徒(選手)達が生き生きと活動しているか。
卒業を感慨深い気持ちで迎えているか。

そして、卒業時に、彼がどんな表情で卒業していくか。

そこに自分の指導の一つの答えがみて取れるのです。


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