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ヒートショックに拍車を掛ける飲酒

【入浴は血圧の上がり下がりが激しいADLです。】

ゆっくりお風呂に入ると、一日の疲れが取れて思わずホッとします。寒い季節ではより一層感じます。私の実家の前には今も銭湯があって、幼少時代、湯船に浸かって気持ち良く鼻歌を歌っていた親父さんを思い出します。

一種の癒しタイムとも言える入浴は、日常欠かせない生活活動動作(ADL)です。実は体内で大きな生理的変化が起きています。その内のひとつは血圧の変動です。

具体的に入浴前~入浴中~入浴後にどんな行動を取っていて、それによってどう血圧が変動するかを確認してみましょう。

① 暖房の利いた部屋から温度が低い脱衣所で衣服を脱ぐ
  寒さを感じるので血管が収縮する
  ⇒ 血圧は上昇

➁ 掛け湯してから湯船に浸かる
  急に体感温度が高くなり交感神経が刺激されて血管が収縮する
  ⇒ 血圧は更に高くなる

➂ 湯船にしばらく浸かって温まる
  からだがしっかり温まるから血管は拡張する
  ⇒ 血圧は下降

➃ 浴槽から洗い場でからだを洗う
  また寒さを感じるから血管が収縮する
  ⇒ 血圧は再上昇

➄ もう一度浴槽に入ってからだを温める
  再度からだが温まって血管が拡張する
  ⇒ 血圧は下降

⑥ 温度の低い脱衣所に引き上げる
  またまた寒さを感じて血管が収縮する
  ⇒ 血圧は上昇

⑦ 衣服を着て暖房の利いた部屋に戻る
  徐々に温かくなって血管が広がる
  ⇒ 血圧は下降

【出典】葉石かおり著 最高の飲み方

このようにお風呂に入るということと、血圧の激しい上がり下がりは深く関係しているのです。体温の変化による血圧の変動によって体調が悪化することを、俗に「ヒートショック」といいます。

更にお酒を飲んで入浴すると、いったいどんな影響が出るのでしょうか?飲酒は交感神経が刺激されて血圧は下がります。湯船から立ち上がれば、更に血圧が下がって気を失うリスクが高まるのです。

日本人は湯船に浸かるという入浴習慣があります。高齢者は身体機能の低下で、低血圧になると脳に血液が届き難くなるので、浴槽で気を失って溺れる高齢者が多い。
消費者庁のニュースリリース(令和2年11月9日)によると、家庭や居住施設の浴槽で溺死した人は4,900人。約10年間で1.5倍に増えているそうです。特に高齢者への配慮が必要ですね。

そこでヒートショックの対策として、脱衣所の室温を暖房機で、浴室全体は湯気などで暖めておくことがおススメです。もちろんお酒を飲んでの入浴はダメですよ!

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