社会人博士という選択①:1人の修士学生が、博士課程への進学をやめた経緯
年をあけたら、noteを更新するといって月日がだいぶ経っていました。
早速ですが、2021年の9月に社会人博士課程を修了し、博士号をいただきました。
私は修士の学生であった時に博士課程への進学か、就職かで悩んでいた一人です。
同じような悩みをもつ人は案外と多いのではないのでしょうか。
そもそもなぜ進学か就職かを悩んでいたのか、社会人博士の選択はどうかという点について。書いてたら長くなったので、3回にわけて述べたいと思います
進学か就職かを悩んでいた理由
修士学生当時、悩んでいたこととしては主に3つあり、①修士のほうが就職先の選択肢が多いと考えていた、②当時の彼女(現在の妻)からの反対、③親や将来の自分に、これ以上の負担をかけてよいのか、ということです。
①修士のほうが就職先の選択肢が多いと考えていた
まず、日本の就活事情というのは、修士までの学生であれば「専門採用」ではなく、「可能性採用」が大多数だと私は考えています。
研究室に所属するのが4年次からとすると、専門的に研究に取り組むのは修士含めて3年前後です。進学に伴い、研究室を移る方だとさらに短いと思います
仮に24で就職して、定年まで36年あることを考えると、「たった3年やったことを、今後も専門として取り組むのか」と悩んでいました。そのため、修士の需要がどうなのかと検証するために、就活をはじめ、推薦枠を使わず、研究職以外に営業なども含めて色んな職種・企業を受けていました。研究職であっても、自分の専門とは何も関係ないところを受けたりしていました。
このときに感じたのは、「観測範囲では、修士に専門性を求める企業は案外と少ない」ということです。
「博士に就職すると専門性を求められる」とはよく聞いていたので、「自分が数年程度しかやってないことで、一生の飯を食べていく覚悟」というのが、修士学生当時の私にはありませんでした。今考えると思いつめすぎなんですが、当時の私には「博士進学」というのは就職の幅(≒可能性)を狭める選択だと考えていました。
②当時の彼女(現在の妻)からの反対
今後のことも含めて諸々を彼女に相談したら、博士課程進学を強く反対されたのをよく覚えています。これについては、進学を辞める理由を当時の私が探していただけだったと今は思います。そのため、博士号取得後、妻には謝りました。
彼女に相談した当時は、世間的には優良とされる内定先と博士課程への進学を比較し、悩んでいました。また彼女は理系大学出身ではないため、それを考慮したら強く反対するのはもっともだと思います。
相談相手はしっかり選びましょう。ただ、指導教官を相談相手に選ぶのは個人的にはお勧めしません。
③親や将来の自分にこれ以上の負担をかけてよいのか
私は母子家庭で育ち、大学院生時代も含めて仕送りは月5万円です。大学の授業料免除制度はもちろん利用し、奨学金にも大いに助けられてきました。
それを踏まえたうえで、博士課程に進学してよいものかというのは悩みました。母は大丈夫といってくれましたが、それでも気がかりでした。また、博士課程へ進学すると、奨学金の返還の道筋が立たなくなり、返還できない(=保証人になってる家族に迷惑をかける)のではという懸念もありました。
以上のことから、博士課程への進学をやめ、社会人博士制度もある化学メーカーへ研究職で就職し、博士号取得を目指すこととしました。
しかし、ここの会社で博士号を取得するのは諦めてしまいました。なぜ辞めてしまったのかを次回(明日予定)にお話しします。
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