どひさん
前回の記事で、社会人博士のために入社したメーカーを辞めた経緯をお話ししました。 私は現在、転職先の某研究機関で研究しており、そこで社会人博士課程入学し、博士号を取得しました。 ただ、困ったさんな私は、所属先のテーマではなく、修士時代の教官のお誘いを受けて、修士時代の研究を基に博士号取得を目指しました。 そうなると、どうなるのか。こういったことも含めて、社会人博士課程で苦労したことを主に3点書いていきます。 4年前の内容の仔細を覚えていないし、当時の情熱も薄れ、
前回の記事で、博士課程への進学を諦めた経緯をまとめました そのため、今度は社会人博士制度がある化学メーカーへ新卒で入社し、博士号を目指すことにしました。 しかし、博士号はおろか、このメーカーを3年で辞めてしまいました。 後進のために、その主な理由を2点書いていきます。 研究所には花形と安定生産のためのチームがあり、花形に所属しないと社会人博士のチャンスは(基本的に)まわってこない 研究所のチームは大きく2つのグループにわかれ、 1)「新しい製品開発のために
年をあけたら、noteを更新するといって月日がだいぶ経っていました。 早速ですが、2021年の9月に社会人博士課程を修了し、博士号をいただきました。 私は修士の学生であった時に博士課程への進学か、就職かで悩んでいた一人です。 同じような悩みをもつ人は案外と多いのではないのでしょうか。 そもそもなぜ進学か就職かを悩んでいたのか、社会人博士の選択はどうかという点について。書いてたら長くなったので、3回にわけて述べたいと思います 進学か就職かを悩んでいた理由 修
最初に書いておきますが、おすすめです。 興味ある方なら一度やってみてください。 先日、様々な方面から話題になっていたゲーム「天穂のサクナヒメ」をクリアしました。 Twitchで配信も不慣れながらもして、ラストの部分を配信したらゲーム音入ってなくて、最後だけもう一度やり直したりしました。 ストーリーについての感想は色々な方面で語られているので、サクナヒメの農業パートについて一農学者の視点で取り止めもなく書いていきたいと思います。 連作が可能な水田という技術の叡智サクナヒメ
下記の方をご存知でしょうか? 農業Twitter界隈では有名な方で、とても示唆に富んだツイートをする方なので、積極的にフォローしてリプしてあげると喜ぶ・・・・かもです笑 その、ふうきさんが面白いnoteをまとめていました 土壌のリンの循環についての記事です。こちらの記事も極めて興味深い記事ですので、ぜひ読んでみてください。 さて、リンの循環というのは、炭素や窒素と比べて『土壌を介した動き』が多く、測定自体も困難なために、いまだ不明な点が多い元素の1つです。 リンは大
前回、稲の優秀さについて語りました。 稲は極めて優秀な作物であり、それを用いた水田作というのは世界に誇る日本を代表する農業技術です。 さて、日本人の生活にはもう一つ欠かせない穀物が『ダイズ』です しかし、ダイズは収量が低迷しています。 実際のデータをみながら確認しましょう ダイズ収量の比較:日本と世界上記は日本全体のダイズ収量をまとめたものです。 みていただくとわかりますが、ダイズの収量は昭和ごろまでは右肩上がり しかし、平成に入ってからは横ばいを続け、平成12年の1
土壌肥料は、土壌と植物をつなぐ分野です。 日本においては、稲を中心に土壌肥料は発展してきた歴史があります。 土壌にある多くの元素のうち、稲と土壌肥料を繋ぐ唯一の接点は窒素です。 稲と窒素の関係がなければ、土壌肥料という分野は存在していません。 ではなぜ土壌肥料分野として、窒素が重要視されているのか。 そこについて書きたいと思います。 窒素の多少で、籾数が制御できるいきなり結論で申し訳ないですが、見出しの通りです。 『色が薄くなったら、窒素をあげる』 『草丈大きい品種は
前回「最小律」に関わるお話で、土壌の元素の動き方が植物の吸収メカニズムに関わるという話をしました。 では、土の中で元素の移動の度合いを決めるのは一体何なのか。 その一つは+(プラス)とー(マイナス)、つまり電荷が関わっています。 今回はイオンのお話です。 農家の皆さんに身近な電荷:CEC農家の方なら、一回は土壌診断を出されたことはありませんか? もし、やったことのない方と非農家さんは診断項目を調べてみてください。 もし、やったことある方は診断項目を思い出してください。
リービッヒの最小律をご存知でしょうか。 作物の収量は最も養分が少ない元素で決まる、様々な分野でも応用されています。 実際にはこれを説明した下記の「ドベネックの桶」の絵が有名かと思われます。 しかし、この考えが常に成り立たない理由を、土壌学の観点で説明したいと思います。 収量逓減(しゅうりょうていげん)の法則との矛盾収量逓減の法則を分かりやすく説明しているサイトがありました 収量逓減の法則とは、ある時点から『投入量と増収量が比例しなくなる現象』のことを指します。 一方で、
私がなぜ土壌学という分野の研究者になったのか書こうと思います。 大学院での唐突な土との出会い私は農学部4年間で所謂「バイオテクノロジー」を学び、一度も農場などのフィールドで実習をやったことはありません。 そんな中、大学院で研究室を選ぶ際にふと思い立ちます 「あっ、放射光の実験したい」 分析機器は好きでしたが、それまで生物実験がメインの僕はいまだになぜこう思ったのかは自身でも理解できません。 そんなわけで放射光実験している研究室はないか探したところ、今も社会人博士でお世話
「土壌肥料って、肥料の研究してるの?」 「土の研究しかしてないの?」 よくこのように聞かれますが、間違ってはいないし、当たってもいません。 ここで、土壌肥料に関する国内最大の学会である「日本土壌肥料学会」のHPを覗いてみましょう 「本学会は、食糧の生産に深く関係している土壌学、肥料学、植物栄養学の近代的な理論と技術体系を構築することを目的として、1927年に設立された学術団体です。」 「今日、世界的には、人口の爆発的増加や土壌の劣化による食糧の持続的生産に対する懸念、酸性
はじめまして、どひさんです! ひたすら思いついたことを書き連ねていきたいと思います。 Twitterアカウントは下記に貼っておきます。こちらも思い思いに呟いてるだけです。 私の専門は主に『土壌肥料学・土壌化学』で、土を対象に研究を行っています。 なので、1枚目のトップ写真は土壌学者っぽく、山口県美祢市にある秋吉台の写真を載せておきます。プロフィールの写真も秋吉台で撮影したものです。 そもそもnoteをはじめようと思ったきっかけは3つありまして、 (1)論文読んだ際の備忘録