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土壌肥料を学ぶ

「土壌肥料って、肥料の研究してるの?」
「土の研究しかしてないの?」

よくこのように聞かれますが、間違ってはいないし、当たってもいません。
ここで、土壌肥料に関する国内最大の学会である「日本土壌肥料学会」のHPを覗いてみましょう

「本学会は、食糧の生産に深く関係している土壌学、肥料学、植物栄養学の近代的な理論と技術体系を構築することを目的として、1927年に設立された学術団体です。」
「今日、世界的には、人口の爆発的増加や土壌の劣化による食糧の持続的生産に対する懸念、酸性降下物、地球温暖化などの環境問題についての関心が高まり、国内的にも、土・水・大気・植生・景域保全との調和を図りながら農業生産の一層の効率化を追及するという、いわゆる環境保全型農業への期待が膨らんでいます。」

これは土壌肥料学会の概要です。これだけみますと、土壌+肥料+植物+環境+栽培という感じでしょうか。
しかし、こちらもみてください

こちらは土壌肥料学会を9個に分けた部門紹介になります。
みていただくと、物質循環などの地球科学の部門や、社会・教育部門も土壌肥料学会に含まれています。
さらには、各部門間の学際領域もありますので、「土壌肥料学とはなんぞや?」という質問に対して、一言では答えられません。
なので、少なくとも土壌肥料学会に属している人の数だけ本来は答えがあろうかと思います。

また上記の部門のうち、私が主に所属する第6部門は、水田土壌・畑土壌・園地、施設土壌・草地土壌の4つにわかれます。
これら4つの土地利用が異なる土壌は、我々の認識では「同じ土」ではありません。
対象作物から土壌自体の性質まで大きく違いますので、このように細かくわかれています。

「コングロマリット」もしくは「見境がない」土壌肥料学という学問ですが、「土壌肥料学とは?」に対して私が答えるなら以下の通りです。

土壌を通じて作物の生産性に寄与する学問

先ほども述べた通り、土壌というのは土地利用の違いだけで、すでに4つにわかれます。
ここに土壌生成・分類の違い物理・化学・生物などの違い等も含めると、土壌というだけで、どれだけ幅広いのか想像に難くないかと思われます。
また、皆さんの食事がその価格で成り立っているのも、土壌の圧倒的作物生産性によるところが大きいです。土壌がなくなれば、今の価格でご飯を食べることは不可能になります。
そんなわけで、「作物を育てられる土壌を整える」のが私のお仕事です。

土壌肥料学の中でも、土壌をもう少しだけ深く知ってみませんか?



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