社会人博士という選択②:社会人博士のために入社したメーカーをなぜ辞めたのか
前回の記事で、博士課程への進学を諦めた経緯をまとめました
そのため、今度は社会人博士制度がある化学メーカーへ新卒で入社し、博士号を目指すことにしました。
しかし、博士号はおろか、このメーカーを3年で辞めてしまいました。
後進のために、その主な理由を2点書いていきます。
研究所には花形と安定生産のためのチームがあり、花形に所属しないと社会人博士のチャンスは(基本的に)まわってこない
研究所のチームは大きく2つのグループにわかれ、
1)「新しい製品開発のために、先端的な研究を行う」花形のチーム
2)「売上に直結している製品の安定生産に関わる研究を行う」安定生産のチーム
で、私は2番目の安定生産のチームに配属されました。
安定生産研究というのは、研究というよりは職人の要素が強いと思っています。
「理由はわからんけど、こうするとなぜか上手くいく。」みたいなことも多々あり、正直なところ、これはこれで面白いです。
しかし研究の要素が薄いため、「社会人博士いくか?」という提案をうける可能性は限りなく低いです。
安定生産チームに回された場合、社会人博士取得には花形チームへ異動する必要があります。しかし、ここにも壁があります。
異動は、社内に顔を売るなど根回しが不可欠。かつ、仕事ができないやつと思われないよう頑張る必要がある。しかし、これら努力でも報われないことがある
「顔を売る」というのは、色んな部署での集まりにおける飲み会には積極的に参加し、「顔を覚えてもらう」ということです。
人の異動を人が行う以上は、「そういえばこういうのがいたな」とか「あいつがうちの部署に欲しい」など顔を思い出させて、俎上にあげてもらう必要があります。これがなければ、運ゲーが加速します。
仕事面では「使えない」のレッテルが一度でも貼られると、花形への異動はおろか、研究所から追い出される可能性があります。
そして、「仕事ができないやつ」のレッテルがあると、顔は覚えているが、うちのチームには必要ないなとなるわけです。仕事は頑張りましょう。
また、最大の問題点は、これら努力をしても望んだチームへの異動になるかどうかは、結局「運」ということです。
こうしたことにはたはた疲れ、仕事への興味も段々失い、スプラトゥーン2に大ハマりしてしまいました。最高XPは2500↑です。
まとめ
私の意見として、メーカーで社会人博士にて博士号取得を目指すのは、配属ガチャ・異動ガチャ・上司ガチャetc. と「運」の要素が絡むため、不確実性が高いです。
さらに、これら以外にも研究室ガチャやテーマガチャなどがあることを鑑みると、
「自分の博士号取得を、運に任せられるか」
ということは念頭に置いたほうがよいです。
社会人博士か修士からの博士課程進学かを悩んでいる場合は、「何歳までに博士号が欲しいか」を一度考えてみると良いと思います。
最悪、定年後でもいいなら、社会人博士をオススメします。
しかし、そうでないなら修士から博士課程へ進学することをオススメします。
私はこのメーカーをやめ、現在の勤務先である某研究機関で働きはじめました。
このときの配属先の研究対象が、たまたま、修士で行っていたテーマでもある「土壌」でした。これに関しては、「運がよかった」以外にいうことはありません。
そして、天運をつけた私は、この新たな地で社会人博士課程へ入学し、博士号取得を目指します。
最後は、実際の博士号取得までに苦労したことを書きます。
補足
私は1社しか経験していないので、「すべてのメーカーがこうだ!」とは言えません。ただ、元勤務先は大手JTC(Japanese Traditional Company)ではありますので、共感してもらえるところもある・・・かも?
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