お手本はすぐそばに
具だくさんのスープにスッと潜り込んで、くずれかけた南瓜だけを掬い上げ、君の口に運び、空気が抜けるように抵抗なく引き上げるそんな匙を作りたい。
空高く飛ばしたなら、楓の種のようにクルクルと舞いながらゆっくりと下りてきて、君を微笑ませるようなそんな匙を作りたい。
露草の先の糸トンボ、真っ黒で細くて、とても美しい羽と姿勢、そんな繊細な在り方の匙を作りたい。
たくさんのお手本が自然の中に溢れていて、純粋な興味とともに深い注意を向けたとき、そっと答えを示してくれる。匙を作っていたら、そんな知恵が自然のなかにあることにあらためて気づき、嬉しくなりました。
写真の野菜はすべて工房の周りで採れたもので、少々いびつだけど、同じ場所で生まれた匙の友達です!