小さな言葉を積み重ねて
ツグミ工芸舎では作品に言葉を添えたものがあります。その言葉の集まりを「ことばの積み木」と呼んでいます。「ことばの積み木」は作品の扱い方やその作品が生まれることになった背景、または、作品を作ることができることに対する感謝の気持ちなどを詩の形に置き換えたようなものです。
下は最近書いた「ことばの積み木」です。
【くぼみの工作】
棒の先にくぼみがあれば
それは匙かもしれない
板全体にくぼみがあれば
それはお皿かもしれない
くぼみの工作とは
どこを、どのくらい
深く彫るべきか?と
素材を前に腕を組んで
考えてみる
そんなお決まりのパターンを
毎回楽しんでいる自分自身に
微笑むこと
何を作ろうかと考える楽しみ、制作ができることの喜びを普通の言葉で書き表そうとしてもうまくいかないことはよくあります。「うれしい」とか「感謝している」とかの言葉を使わないで表現したい。そんなときこそ、詩の形を借りると上手くいくかもしれません。
数字でしか表すことのできない事柄があるように、詩の形でないと伝わらないこともあるはずです。
あなたがつくった料理、あなたがつくったサービス、小説、音楽、人間関係、または、あなたが失った何かなど。短いことばの塊にして表現してみてください。自分は結局、何がしたかったのか?何が伝えたかったのか?ぼんやりとしていたものがハッキリと表れてくることがあります。スマホや紙と鉛筆があればすぐにできる、人にだけ与えられた素敵な能力のひとつです。