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三秋縋「三日間の幸福」

とにかくまとまりのない殴り書きになってしまったが、感想を残しておくことにした。

かなり好みだった。あとがきにも書かれているけれど、この本の真価は、命の価値なんかを論じたことではないのだろう。俺に刺さったのも、そうしたシリアスなテーマというより、クスノキとミヤギの日常の描写だった。星空、スーパーカブ、自動販売機。俺が生きている街にも確かにあるそれらがとても魅力的に思えた。そうした日常の美しさを自由に楽しむ2人が痛快だった。クスノキの、自分の能力と未来を高く見積もって、実際にはそうならない、でも死ねない、希望を捨てられないでただ生きていくしかない性分に心当たりがあるのは俺だけではないだろう。3ヶ月で人生が終わるとわかっているというのは羨ましさすらあった。クスノキが自身を顧みずミヤギのためを想うことも爽快で美しく感動した。あんなふうに生きてみたいものだ。シリアスと日常のバランスが程よく、とても読みやすかった。それでいてラストはしっかり感動させてもらった。まあ普通にミヤギが可愛くて萌えたという面もあるだろうが。自分にできることをやって生きていこう。

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