鉄分たっぷりの定額給付金

子育て世帯向けの10万円相当の給付事業が始まろうとしています。

給付方法は、最終的に現金とクーポンそれぞれ5万円ずつに分けて給付。現金一括給付の場合の事務費は280億円相当でしたが、クーポンになったことで、その額は967億円上乗せされるとのこと。

内訳は、“クーポンの印刷・郵送費”“国・各自治体にコールセンタ設置”“事業者への説明会”などです。

この施策、考えれば考えるほどいろんな疑問が頭をもたげてきます。

例えば、

・結局の目的は、経済対策なのか、貧困対策なのか。はたまた、(老後2,000万円問題に備えて、)国民の貯蓄額を増やしたいのか?
・支給の簡素化と迅速化のために、児童手当の仕組みを活用するはず。そこにクーポンが加わったら、台無しなのでは?
・5万円分の支給方法(クーポンor現金)については、自治体の選択制にするんかい! だったら、最初から現金10万円でいいじゃん。(クーポンなんてこんな面倒くさい支給方法はやってられないから、ほとんどの自治体が現金を選択しそう。)

とかとか。

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なによりも疑問なのは、クーポン券にした理由が“貯蓄できないから、消費を促す効果が期待されている。”というもの。

過去にも同じような定額給付政策がありました。1998年に15歳以下の児童のいる世帯、65歳以上の高齢者のいる世帯に、一人あたり2万円の地域限定商品券(地域振興券)を配るというものです。

なぜ商品券か? 
⇒当時掲げられていた理由は、現金より商品券の方が貯蓄に回らず、より消費が喚起できるから。

つい最近聞いたよ、この文言…

結局、クーポンも商品券も、それ自体は貯蓄できないけど、その商品券・クーポンでもともと買うはずだったものを買えば、それだけお金が浮く。

だから、その分は結局貯蓄に回ってしまう。もし家計が合理的であれば、現金で所得が増えようが、商品券で所得が増えようが、同じ割合が貯蓄にまわってしまうんです。

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今回の給付金の目的が、経済対策(消費の喚起)ということであれば、もう少しやりようがある気がします。少なくとも各家庭の財布にあるお金を使わせることを考えなきゃいけない。

そうすると、配るのは現金ではなく、クーポンでもなく、割引券がベターでしょう。

なんでかって、割引券にすることで、割引後の残額は各家庭の財布からお金がでていくから。その分、世の中にお金がまわっていく。そして、経済が動いていく。

さらに、対象商品も、ミルクやおむつといった生活必需品は対象外にする。なぜなら、割引券があろうがなかろうが、そういったものは必ず購入するもので、消費されるお金の量は変わらないから。

それよりも、例えばおもちゃとかアミューズメント関連、教育費(書籍・学習塾)などの生活必需品以外の品目を対象にする。“(普段は躊躇するけど、)安く手に入るなら、お金をだそうかな。”と思えるモノを対象にすることで、割引券がない場合と比べて、よりお金が世の中に循環される。

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で、こんな疑問だらけの施策、ご多分に漏れず「鉄のトライアングル」の論理がきっと発動してるんでしょう。

制度がつくられるときには、いつだって既得権の取り合いが始まる。各“業界団体”は“政治家”に対してロビイングを行って、それを受けた政治家は、“官僚機構”とつながる。そして、既得権を守るための努力をして、業界団体からの票田を獲得する。この3者による既得権確保システムが、「鉄のトライアングル」。

自民党の福田達夫総務会長は、事務経費967億円の増加について、「事務費はすぐに(市中に)流れるので、考えようによっては経済対策の一部にはなる」と発言。

“市中”って、すべての国民のことじゃなくて、票を入れてくれる“特定の”国民を指してるんでしょうよ。

今回の給付事業も、もはや鉄分の臭いしかしないよ。

ゆるい笑顔の男の子


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