エキナカで本を売る。「ひぐらし書房」後編
今日は、前編の続きとして「実際に作っていくところ」のお話をしていきたいと思う。前編をまだ読んでいない人は、こちらからどうぞ。
さぁ、棚を作ろう。
棚づくりは予算も考慮して、自分たちで作ることにした。設計図は前編にも出てきたゆりちゃんが引いてくれた。(「お前が設計しろよ」と言われそうですが。笑)そして買い出しも一緒に。笑
切り出しはホームセンターでやってもらって。組立は事務所で。
ブクアパの棚を作った時のことを思い出しながら。
実際に組み立てを手伝ってくれたのは、ブクアパの棚主の皆様と、
設計チームの学生ヘルパー(関東学院の伊東くん、東京理科大 石塚くん、日大芸術学部 きりみちゃんとその友達、そして僕の知人たち)
エキナカとマチナカをつなぐ書店
「ひぐらし書房」の誕生
今回のビジュアルの担当は、グラフィックチームの新星、末吉くん。
(本棚のイラスト周りは、我らがズーアン先生ですが。笑)
彼は誌面から写真まで幅の広い守備範囲で新人離れした仕事をしてくれる。
企画側の人間さえまとめられていない時に、スッと登場して、大切なことから順番にとてもわかりやすくまとめてくれた。
本を集めて、帯を巻いて。
商品登録のスプレッドシートに、タイトルと金額を打ち込み商品リストを完成させていく。この作業はとても大切。だけどとても大変。(これを誰でもできるようにしてみたいw)
出品者みんなで商品の準備も着々と。
一冊一冊に共通の帯を巻いて。しおりを挟む。
これもまた結構根気のいる作業なので、とても助かった。
こちらも手伝ってくれたのは、上記のメンバーに加え、学生ヘルパーの 横浜国大 すずちゃんだった。黙々と作業が進み、気がつけば出来上がっていた。
ドタバタだった搬入の日
出来上がって間も無いうちに、棚に入れて棚を車に積み込んで。
夜な夜な日暮里駅に運び込んだ。
ドタバタしながらだったが、ギリギリ間に合った。。。
裏で準備している時から、ドキドキ。
棚が並んだ日の朝
ついに、本が駅に並んだ。
1冊目が売れた時、死ぬほど嬉しくて。泣きそうになった。
できるんだ。本当に。
日暮里駅の駅長も見にきてくれて、色々とお話しすることができた。
西日暮里 - 日暮里 - 鶯谷 - 上野
このエリアが盛り上がって欲しいと本当に思う。
しばらくすると、子ども店長のきょうたくんもSuicaを振り回しながらやってきた。
テレビ取材を見ながら。まぁ、嬉しいよね。
本当におもいでぽろぽろの主人公のように喜びながら踊っていた。
不便さは意外と大切で。出会いの場にもなるわけで。
これは狙ったわけでもなく、結果論なのですが
現金決済のみの、「数冊、1000円均一」で売ったところ、賛否両論の反応をいただいた。多くの人は、「バラでも買えるようにしてほしい。」と。
でも、でも、今回とても興味深かったのは、見ず知らずの人同士が、
「私1冊だけこの本買いたいので一緒に買いませんか?」と、声を掛け合って買っている場を見かけたことだ。
このエピソードだけで、もう「やってよかった。」と思った。
利用者の皆様が、この不便さを許容してくれていたことが本当に救いでした。
実は大変だった、集金と納品の毎日。
始めてみて1番最初に焦ったのは、在庫と納品だった。
なんと、1日目でおよそ40冊程度売れてしまったのだ。
21日間ある会期そのペースは維持できないことはわかっていたので、冷や汗をかきながら追加納品したのを覚えている。
そして、毎日毎日棚の写真を撮って。売り上げの集金をして、新しい本を並べて。
これがまた、結構地道な作業なんです。毎晩のecuteさんの締め作業に居合わせてちょっと不思議な気分でした。笑
終わってみれば。
最初に出品したのは350冊くらいからスタートして、終わってみれば3週間で出品した商品は、およそ800冊。
そのうち、売れた本はおよそ350冊。あっという間の3週間だった。
自分の持ち込んだ本も結構売れていて、嬉しかった。
中には、「えっ?この本が?」っていう本が売れていたり。
ここで、ちょっとだけ売上のブレについて少し言及すると、無人販売を行う場合、当然金額が合わないリスクをはらんでしまう。
今回ももちろんピッタリとは合わなかった。
この内容の詳細が知りたい方は、個人的に連絡をください。
ecuteのスタッフさんのサポートの凄さ。
毎日の棚の出し入れはecuteさんがやってくれる。という何ともすごい助けてもらった。朝は7:00から夜は22:00まで。(全部やったら身がもたないw)
何より警備員の方々がとても献身的で。棚の中もよく見てくれて。
「昨日も僕買ったよーーー」なんて言ってくれるおじさんもいたりして。
もちろん企画の説明もお手のもの。現場で困っている人がいたらすぐにご案内してくれた。
本当にこの辺の細やかな運営がとても重要で。
最後の搬出の時まで皆さん手伝ってくださった。
みんなの助けがなければ何一つできなかった。
皆さん、ありがとうございました。
2023年もまたエキナカで「ひぐらし書房」が開催できることを祈りながら。
個人的には、(建築家としても企画者としても、)都市とか大きな目標はあるにしても、常日頃から、まちとかエキとか、日常的に色々な人の行き交うところに少しずつ仕掛けを施していけたらと思う。
今回の企画をきっかけに、また懲りずにいろいろな仕掛けできるといいなぁ。と思いました。
2023/02/12 ジョージ
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?