事業のネタ帳 #21 メディアの構造変化によって生まれる事業機会についての考察
1.はじめに
私たちは、Amazon・楽天市場・食べログ・Retty・じゃらん・一休などのメディアに毎日のようにアクセスし、自分の興味・関心があるものを探していると思います。インターネットが存在しなかった時代は、自分の興味・関心があるものを探すのはとても大変でした。しかし、インターネットが普及したことにより、世界中の情報が広く可視化され、さまざまな切り口で検索できるようになったことで、自分の興味・関心があるものにスムーズに辿り着くことができるようになりました。然し、このようなメディアも、時代の流れに応じて大きく構造変化が起こっていると感じています。本Noteでは、このようなメディアに起こっている構造変化と、これらの変化によって生まれるスタートアップにとっての事業機会について考察したいと思います。
2.メディアの構造変化によって生まれる事業機会
①メディアのパラダイムシフトから生まれる事業機会
一つ目は、Web1.0⇒Web2.0⇒ソーシャル⇒オウンド⇒Web3といったようなメディアのパラダイムシフトから生まれるスタートアップの事業機会です。飲食情報メディアなどが分かりやすい事例だと思いますが、Web1.0(ぐるなび)⇒Web2.0(食べログ)⇒ソーシャル(Retty)⇒オウンド(favy)といったように、メディアのパラダイムシフトが起こる毎に新たなプレイヤーが誕生しています。このような変化を引き起こす要素としては、ソーシャルメディアの普及によって個人の情報発信力がどんどん大きくなっていることや、インターネットによって情報の可視化が進み、情報の非対称性が低減していること、またブロックチェーンなどのテクノロジーによって、インターネット上で価値を移転させることが可能になっていく中で、各ステイクホルダーにおいて、役務の提供価値の大きさと享受する利益の大きさの不均衡の是正が進む、普遍的且つ不可逆な変化によるものだと考えています。但し、既存の大手メディアに目を向けてみると、従来のメディア構造のまま進化が止まっている大手メディアも多く、メディアのパラダイムシフトに着目したGame Changeには大きな事業機会が眠っていると考えています。
②企業から個人に光を当て直すことで生まれる事業機会
二つ目は、①と重なる要素もありますが、企業から個人に光を当て直すことによって生まれるスタートアップの事業機会です。例えば、美容院・美容室・ヘアサロンを探すメディアを見てみると、美容院・美容室・ヘアサロンを探せるメディアはあるものの、自分に合う美容師を探せるサービスはこれまでほとんどありませんでした。然しながら、ユーザー視点で考えると、どこの美容室(企業)で髪を切るのかよりも、どの美容師(個人)に髪を切ってもらうのかの方が知りたい情報かもしれません。ミニモは、まさにこのようなユーザーニーズに着眼し、美容師個人に光を当てることで急成長しているメディアですが、ソーシャルメディアの普及によって個人の情報発信力が大きくなっている中、企業から個人に光を当て直すことでGame Changeできる可能性がある事業領域はたくさんあると考えています。
③コンテンツのリッチ化によって生まれる事業機会
最後に、コンテンツのリッチ化によって生まれるスタートアップの事業機会です。通信回線が速くなり、デバイスの性能が高まるにつれて、テキスト ⇒ 写真 ⇒ 動画 ⇒ XR(AR、VR、MR)といったようにコンテンツのリッチ化が進行していくのは間違いのない変化です。クッキングメディアなどが分かりやすいと思いますが、クックパッドが写真をベースとしたレシピメニューで大きなマーケットシェアを獲得した後、kurashiruやDelish kitchenが動画を基軸にマーケットシェアを大きく高めていますが、このようなコンテンツのリッチ化に伴うGame Changeには大きな可能性があると考えています。
3.最後に
このnoteで記載した3つの要素は、おそらく誰でも気づいている変化だと思いますが、時代の変化に応じて柔軟に変化するというのは、ある意味で今の自身の姿を否定することであり、また今の事業がうまくいっているほど、大きなサンクコストが発生するため本当に難しいものです。だからこそ、そこを真剣に考え、実践することによって大きな事業機会が生まれると感じ、このnoteを書きました。フィーチャーフォンからスマホにシフトしたタイミングを思い返すと明らかですが、これまでも大きな変化のタイミングでは、さまざまなビジネスレイヤーにおける主要プレイヤーががらりと入れ替わってきました。また、これまではデジタルを切り口としてスタートアップがレガシー産業をGame Changeすることはよくあったと思いますが、インターネット産業もそれなりの歴史を積み重ねてきた中で、スタートアップが時代の流れに柔軟に変化できていない大手IT企業をGame Changeする事例が増えてくると思います。私たちが投資検討する際には、まず「大きな時代の方向性に沿った事業かどうか」についてしっかり考えるようにしていますが、大きな時代の方向性に沿っているかどうかは、事業を成功させる上でとても重要な要素だと考えています。下記にこのあたりの私たちの考え方について記載していますので、良かったら是非読んでみてください。
また、これまでの「事業のネタ帳」シリーズは下記に纏めていますので、もし興味のあるテーマがあればこちらも合わせて読んでみてください。
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