詩『鮮』
スパークしだした追懐の渦は
目を刺す電光で連鎖する
学級文庫にはない死人花という字の楽園は
不織布テープのいびつな切れ端から現を盗み
虚として滝壺に近い流れに飛び込む翡翠
反射する鱗はもう日暮れの様相を見せ始めた
落日色のカレンデュラは
要は悲嘆ということだ
いつまで続くか息絶え絶えで
それでも腹を裂いて生まれた言葉は
氷室の藁に隠しきれずに融け出してしまう
注視する間に変わる文字からこぼれる星は
死ぬまでショートし続けるだろう
空蝉の虚像でも符合するなら桎梏を捨てたい
ちぎる指から湯気が立ちのぼる
夜気に可淡のドールは眠る
一閃の交信に枝分かれをした
記憶の氾濫にクラッシュしており
ストレージは上限で保存不可なはずなのに
次次と胸を突きあげてくる徒花の眩しい白が
ひとときの微睡すらも許してくれない
そうだ これは増殖していくウイルスなんだ
共生するか消すかの二択で
摘んだアスターを握り締める