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詩『近』

塩湖のような無彩色の空は
地上の彩度も落としている

傘を忘れた帰り道
白南風の気配を探している

アメシストが陽に焼けるよう
あじさいは徐々に白んでいる

掘り返された街の匂い
もんわり漂う土の匂い

屋台のりんご飴の匂い
今はもうない草いきれ

リリン

どこかで確かに風鈴の音
せっかちな風が引き戻す

髪は撥ねるし頭が重い
降り出すまえにと先を急いだ


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