詩『震』
足の指を見つめている
気づけばくの字に変形をして
醜く折れ曲がっている
わたしとあなたのようすに似ている
湿りけのような緩やかなゆがみによって
取り戻せない嘘を重ねて来たんだ
放置では狂っていく一方なので
靴を変えるか手術をするか
意識してなにかを変えるしかない
あらぬ方向を指しながら
共にあることで生じるひずみによって
事態は刻刻と深刻さを増す
進んで合わない靴を履き
痛みをないものとして
オシャレのためと言い聞かせ
わたしとあなたの生きざまそのもの
息をするように無理を重ねた
外面ばかりを気にした代償
────たとえば生まれ直すとして
そんな叶わぬ妄想をして
外反拇趾を見つめている
20210220
第108回 詩コン「震」 佳作