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詩『記』

母よ
すっかりと窶れた人よ
筋肉も脂肪も落ちた手足を包む
皺皺に縮んでしまった皮よ
浮き出た鎖骨や肋の守る
肺や臓腑は動いているが
心体の消耗を隠しきれない

まるで煤けた燃え殻だ
やりたいことがなにもない
長くは生きたくないと呟く
健康を願う子にそれを言うのか
わたしはひとりぼっちだと零す
では側にいる子はなんなのか

どうか嘆かないでほしい
労苦ばかりの生であっても
己に絶望しないでほしい
たましいの輪廻は長くかかるが
肉体はたったの数ヶ月である
何度でもすぐに生まれ変われる

老いとして現れている変化は生き様
懸命に歩みを進めた証拠だ
あなたという歴史のみちゆき
刻んだ時を示すのだから
その白髪や皺のひとつひとつを
慈しみ誇ってほしいのだ

母よ
時間薬と言うだろう
残酷なのかもしれないが
自分を生きてほしいのだ
母よ
わたしはあなたを愛している


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