詩『グラシン紙』
好きな詩集にカバーをつけた
グラシン紙を通した景色は淡雪
薄氷のような手触りもいい
しかしロマンで包んだ友たちは
アイシングシュガーを振ったプレート
今はガラスケースに眠る
すっかり悴んでしまったのだ
一面真っ白な世界を目にして
怖じけづき書けなくなっていた
余白を自由に踏んでまわった
足跡に息を弾ませたころ
あの高揚感を思い出したい
閨にわだかまる雲海よ
レイヤーを重ねたのは自分自身だ
おまえたちのせいじゃない
グラシン紙でカバーをつけた
好きな詩集と再会しよう
2020年12月31日に投稿
ココア共和国2月号(電子版)に佳作として掲載