詩『涼』
流転の極みだ
言葉は音速にて生まれ死ぬ
連鎖し色を変えてゆく
ただし符合を起こせば結晶化
半永久的なポーズで留まる
風が吹くとき
心は震えのサインをもって
伝播し体に訴える
凹か凸かの波を寄越して
不安定さの関数を問う
命はどうか
叙情はあれど情景はなく
美しくも非効率
奏でるだけでその場しのぎだ
ワンパターンを抜け出せぬ
刹那的なものごとは
冷たい宇宙を切り貼りすれば
またたく星が起爆して
そのうち点が線になるから
とにかく星河を泳いで渡れ
きみ去りし後は
なんの変哲もない日々と
馥郁たる刻が交差して
隙間を涼で満たすだろう
シネマのような無限の幕引き
電気信号の氾濫を
受け止める手は麻痺をして
無感情になお枝分かれをする