詩『嵐』
舞う砂埃にフレームインして転がり出ていく
タンブルウィードのような通りすがりだ
主役のガンマン以外の生きざま
はじけて散らばる薬莢の描く
規則的にも不規則にも見える曲線あるいは硝煙
滲む蜃気楼のなかにいる
せめて心は蜂の巣として蓮の真ん中に鎮座せしめよ
固い種は傷を得てこそ芽吹きやすくなるものだから
新たな生への布石として泥のなかより咲いてやれ
花が無理なら葉の露として疾くこぼれ落ちて輪廻せよ
どんな星より若い輝石は刹那に尾を引き燃えるだろう
天に還って透明な最高温度の炎で照らせ
乾燥で赤い唇が生み出すものは過去の失態ばかり
タンブルウィードと捨て置いておけ
枯れ枝は火に焼べるものだ
山背は虫にはきついので
杯を呷ったら受け流す術を考えるべし
ふつふつとガンマンを見据える狙撃手
おおよそ3000個の星をたよりに
荒ぶる砂塵でズームインして
まずは好敵手の座を狙う