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詩『はじまりの詩』

新雪に足を踏み出すときに
ためらうことを忘れないまま
蹂躙しようと思わないまま
白さにとけこみたいと願う

親切に足を踏み入れるとき
頭から疑うことをしないまま
あたりまえだと驕らないまま
白さに染まりたいと誓う

舞う雪のひとひらひとひらも
氷のはしらのひとつひとつも
きみやぼくという人間も
透明な水が模るもので
穢せないし穢さない
享受とはそういうものだから

閉じたように感じる季節は
開くための調音期間
ピアノからフォルテへ
アンダンテからアレグロへ
他人のタクトに振り回されても
コンマスは自分自身だ
ひるまない

毎日新しい陽がそそぐから
生きているものは息をして
目覚めては眠ってまた起きて
日々を積み重ねていこう
いくつものはじまりの朝に




20220102
深夜の二時間作詩 第139回「はじまりの詩」

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