【SDGs】[12.つくる責任 つかう責任] 究極の”パッケージレス”なCDとは?
私の暮らす地域では、毎週火曜日と金曜日は「可燃ごみ」、の収集日だ。分別でリサイクルできるものを極力減らしてはいるものの、私の毎週出す可燃ごみは、生ごみ、資源にならない紙屑もあるが、結構多いのが「包装パッケージや使い捨て容器」である。
コンビニで買ったコーヒーの紙コップ、チョコレートやポテトチップスのビニール袋、ペットボトルのラベル、豆腐の容器、冷蔵肉や総菜のラップ…たくさんの「プラマーク」のついていないプラスチックごみや一回ぽっきりのカップごみなどで容量45ℓのごみ袋がいっぱいになる。
世界から日本を見た場合、包装はかなり過剰とも思えるほどのレベルである。お菓子なども綺麗なデザインがプリントされた箱の中にプラスチックの袋があって、さらに小分けしたプラスチックの袋に入っていたりする。何かスーパーから買ってきて食べるだけでごみがたくさんでてしまう。リサイクル可能か不可かを問わず、やはりペットボトルや牛乳パックにしてもごみにはなる。シャンプーやボディーソープ、入浴剤などの容器やクッキーの缶などは、捨てるにはもったいないほどしっかりしていて、何かに使えはしないだろうか、と洗ってとっておいても使い道が思いつかないので結局捨てる羽目になったりする。
ごみを減らす対策としてつくる側の「パッケージレス」または「簡易包装」はここ10年間のトレンドだ。坂本龍一のCD「Out of Noise」のパッケージは可能な限り簡素なもので、「家にある空(から)のCDケースに入れて保管」することが前提となっており、CD制作のおける製造工程、流通工程、ひいては将来廃棄される際に排出される温室効果ガスの量をフィリピンでの植林事業で相殺(カーボンオフセット)するという徹底した環境対策をしている。CDの収益から寄付をするのではなく、つくる人とつかう人の両方が環境に対して優しいのが素晴らしい。
簡易包装はネットから購入することが増えた現在、お店で陳列する製品のように見映えにこだわる客は以前ほどいない。直接家に届く製品ではラベルが貼っていないペットボトルや最低限の包装材をつかったティッシュボックスや洗剤などは十分なのである。
ごみを減らす別の対策としては、「ごみとなる容器を受け取らない」というものもある。「自前の容器」を持ち込んで商品を購入し、紙コップや容器のごみを増やさない販売方法も最近では多くのお店で見られるようになってきた。例えばスターバックスである。保温式のタンブラーやステンレスボトルを持ち込めば中身だけ売ってもらえる。スープストックも自分でジャーを持ち込んで中身だけ売ってもらえる。スタバもスープストックも自分で容器を持ち込めば20円ほど安くなる。タリーズコーヒーは30円引きである。
全く包装容器がない形で販売しているところもある。LUSHだ。「ネイキッド商品」はまさに包装容器すら要らない消費者に人気となっており、エコフレンドリーなだけでなく、商品そのものが美しく良い香りがするために逆に容器に入れておく方がもったいない感じなのである。
さらにアメリカでは「ゼロ・ウェイスト・ストア」というのがある。ニューヨークのブルックリンにあるPrecycleという日用雑貨・生鮮食品ストアは、今から2年前にできた原産地が明記されたオーガニックな食品などを販売する「Bulk Food(量り売り食品)専門店」で、買う時には自分でタッパーなどの容器を持参するか再利用可能な容器を店内で購入し、必要なだけ自分の容器に取り分け購入する。
昭和の時代、豆腐屋が独特の笛を鳴らしながら家の近くまで来ると、ボールを持った主婦が玄関から出てきて行列を作った。肉屋の量り売りでは杉やヒノキを紙のように薄く切った経木(きょうぎ)でお肉を包み、細いひもで縛ってくれた。そんなことが当たり前だった昭和の知恵が今の時代にも再考され、ごみが減ることにつながってほしいと思っている。
パンチョス萩原(Soiコラムライター)
参照・出典
LUSH ネイキッド商品
Precycle (ブルックリンのパッケージフリーの日常雑貨・生鮮食品ストア)
DIAMOND ONLINE 「実は凄かった!木の食品包装「経木」の天然パワー」
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