戦場(いくさば)には肉ありけり。
ずっと気になっているけど、未経験なままのことは多々ある。
今日はまたひとつ大人になれた。
昼下がりに買い物へ出た帰り、どうでもいい時間の起床によるリズム破綻で遅めの昼食を取ろうとする。
「何を食べようか...」
そう言えばこの辺りにはすた丼があったな。
飲食チェーン「伝説のすた丼屋」
「気になってはいたけど、生まれてこの方行く機会なかったんだよな」
よし。そうとなれば行動は早い。
すた丼へと向かう。
食券機で買える店は素晴らしい。
会計も店員の呼び出しも提供のスピードも余計なストレスを抱えなくていい。
店に入ると平日夕方のせいか2人ぐらいしか客はいないがらんとした店内。
席に座ると西陽が絶妙に眩しい。閃光手榴弾をくらったみたいな。
「ずっと眩しいな...」
そうこうしているうちに注文の品が届く。
スタンダードな定食にした。
美味いかどうかなんて見りゃ分かる。
宮川大輔も言うよ、「見たら分かる美味いやつやん!」ってね。
いざ、実食。
美味い、、美味すぎる。
少し焦がした炭焼きのような牛肉は食欲をそそり、米との相性は抜群。
ロッベンとリベリ、修二と彰、ジョーダンとピッペン。
合わないわけがない。丼ってのはこうでなきゃ。
七味を少々。うん、美味い。
サラダ用のドレッシングが目に入る。
「どうしよう...」
ちょっと邪道すぎて躊躇う。だが意を決してごまだれをかける。
美味い。そもそも野菜用とあってサッパリする。
焼肉ロードの劇画みさえありがとう。
それにしても西陽が眩しい。
え、待って。もしかしてめちゃくちゃドラマチックにすた丼食べてる?
ブロードウェイのスポットライトとかですか?
やめてよ、恥ずかしい。
落ち着かない自分を無視するかのように慣れた様子の他の客は黙々と"スタミナ"をたいらげている。
彼らは分かってるんだ。やはりどんな場所にも強者はゴロゴロといる。
あいにく本日、未熟者。
わたくし本日、未熟者。