[起業家向け解説]リーンキャンバスの使い方
上記のnoteで、リーンキャンバスの作り方を解説しました。
今回は、リーンキャンバスの使い方です。
(リーンキャンバスのパワポの雛形はこちらでダウンロードできます。)
リーンキャンバスとは
A4一枚の起業アイデアをまとめた書類です。
リーンキャンバスは、顧客の種類だけ作成する
名著:ランニングリーン P54には以下のように具体例が記載されてます。4種類の顧客ごとにリーンキャンバスを作った事例です。
①親御(子供の両親)
②カメラマン
③映像作家
④消費者
上記のように複数のリーンキャンバスを作ったら、3つまでリーンキャンバスを選びます。
その後、起業家は他の人とリーンキャンバスを共有します。
複数のリーンキャンバスの草案から有望なリーンキャンバスを選ぶ基準
結論、私の持論は、
起業家自身が最初の客となるリーンキャンバスを選ぶ
です。
以下、詳細説明です。
ランニングリーン P53~56には、起業家がリーンキャンバスを選定する基準として、以下の5つを挙げてます。
1. 課題:顧客の不満レベルが高いか
2.チャネル:顧客への販売経路の作りやすさ
3.価格と粗利益:どれくらい儲かるかの
4.市場規模:起業家が起業するのに十分な市場規模があるか
5.実現可能性:起業家がそのソリューションを開発できそうか
これらの基準は全て大切です。
しかし、私は、
1.課題:顧客の不満レベルが高いか
が最も大切と思います。
理由は、
そもそも1.課題がこの世に存在してない場合、2.チャネル~5.実現可能性を考えても無意味だからです。
起業家がリーンキャンバスを作った直後は、リーンキャンバスの1.課題がまだ未検証で実在してない可能性があります。
顧客の課題がFact(事実)、Fake(事実でない)を見分けるには検証が必要です。
一般的に、1.課題は未検証の段階では単なる起業家の妄想の可能性は高いです。
起業家はその課題が実在してないリスクを避けたい。
では、どのリーンキャンバスを選び、改善すべきか。
リーンキャンバスを選ぶ基準は、
起業家が起業家自身の問題を解決してるか
という基準を使いましょう。
(参考)起業家が起業家自身の問題を解決すべきと解説したnote↓
起業家の最初の客が起業家自身なら、少なくとも起業家自身という課題を抱えたお客が1人は存在します。
そして、通常、起業家が持ってる課題は、他の人も同様の課題を抱えています。
起業家は、まず自分の課題を解決を目指し、自分を幸せにしましょう。
外部の人に意見を求め、リスクを特定する
リーンキャンバスを選定したら、リーンキャンバスに客観的な意見をもらいましょう。
建物(自分のオフィス)の外に出よ。
ランニングリーン イントロダクションより
起業家は、起業アイデアを盗まれるリスクに過敏にならず、外部の人の助言を求めるべきです。
起業家が自分では気づけない、外部の人しか気づけないリーンキャンバスに潜むリスクは必ず存在します。
リスクとは、起業家が作ったリーンキャンバスが絵に描いた餅で、実現不可能というリスクです。
例えば、起業家が知らない法律により、法的に不可能な起業アイデアなどです。
外部の人に助言をもらい、起業のリスクを減らしましょう。
外部の人と話す際の注意点
リーンキャンバスに潜むリスクを相談する外部の人の選び方、外部の人との話し方、どちらも注意が必要です。
スライド10枚はやめましょう
昔ながらのスライド10枚はやめましょう。
リーンキャンバスを使ったインタビューで重要なのは、ピッチより(メモをとりながらの)学習です。
ランニングリーン P57
起業家の界隈で有名な10スライドのプレゼン(詳細)は、VCなどの投資家向けに行うプレゼンで利用します。
すなわち、10枚のスライドは相手を説得するピッチで利用します。
起業家がリーンキャンバスを使って実施するのは、学習です。
リーンキャンバスを使って、起業アイデアを気軽に外部の人に相談する場合、スライド10枚は多すぎです。
リーンキャンバス1枚で外部の人と相談しましょう。
具体的な質問をする
起業家が外部の人とリーンキャンバスについて、議論する際、以下の具体的な質問をします。
1. このプランで最もリスクが高いと思われる部分はどこですか?
2. 同様のリスクを克服したことがありますか?それはどのように克服しましたか?
3. それらのリスクをどのようにテストしたらいいでしょうか?
4.これから私が話を聞いた方が良い人はいますか?
出典:ランニングリーン P57
話を聞く
リーンキャンバスを説明するのに3~5分
ランニングリーン P57
可能な限り起業家から話すのは避けます。助言に耳を傾けましょう。
アドバイザーパラドックスに気をつける
アドバイザーにアドバイスを求めよう。ただし、その言葉を素直に聞いてはいけない。そのまま利用してはいけない。
ランニングリーン P58
外部の人が話す内容に沿って、リーンキャンバスを書き直せばいいわけではありません。
起業家は、以下の傾向を持ちます。
外部の人(アドバイザー)の意見を正しいと認識しやすい傾向
外部の人の意見は、参考にする程度です。
外部の人は起業家が成功する方法を知ってるわけではありません。
外部の人の選び方
リーンキャンバスで達成したいことは、以下の図の右下のCPF達成済のアイデアを得ることです。CPFの詳細はこちら。
リーンキャンバスを作った時点では、あなたのアイデアはまた上記図の左下に位置する、悪いアイデアです。
結論、鳥、虫、魚の3種類の外部の人に助言をもらいましょう。
鳥の目、虫の目、魚の目を持つ人に話を聞こう
①鳥の目(マクロの目) ②虫の目(ミクロの目) ③魚の目(流れを読む目)
この三つについて、外部の人に意見を聞きましょう。
この鳥の目、虫の目、魚の目の元ネタはこちらの本です。
①専門家
主に鳥の目です。
現在の市場の全体を見渡せる人です。
企業の課長クラスの人や、独立起業して個人でビジネスしてる人、士業の人たち、医者などが該当します。
②現場の人
主に虫の目です。
現場の人からは、現場の実際の出来事を聞けます。
現場のバイトの人、企業の役職のついてない現場スタッフが虫の目を持つ人に該当します。
③ビジネスの大枠がわかる人
主に魚の目です。
ビジネスの大枠がわかる人は、過去、現在、未来の流れを長い時間軸で捉えられる人です。
起業家が予想しなければならない、未来を見通す能力がある人です。
VC投資家、会社の経営者など、経営者層が魚の目を持つ人に該当します。
この鳥の目、虫の目、魚の目について、3種類の人から意見を聞きながらリーンキャンバスを改善します。
注意点
現場の人は、虫の目、鳥の目、魚の目の全ての視点を持ってます。
ただ、現場の人は現場にいるので、虫の目の精度が高いです。
なので、虫の目の視点について、質問しましょう。現場のことをよく聞きましょう。
現場の人に、鳥の目、魚の目について質問するのは禁止というわけではないです。
魚の目、鳥の目、魚の目を得ることにより...
これらの3つの視点を得て、左下の悪いアイデアが、CPF達成済のアイデアに進化します。
左下の悪いアイデアは、高い専門性、業界や現場の知識、市場環境の知識により、磨かれてCPFを達成します。
鳥の目は、高い専門性を。
虫の目は、業界や現場の知識を。
魚の目は、市場環境の知識を授けてくれます。
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