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お箏を弾く人のための「初めての楽典」

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お箏を弾く人が初めて「楽典」という音楽の基礎を学ぶ時の入門書です.西洋音楽の「楽典」に拠らずに、「平調子」や「雲井調子」といった五音音階の仕組みから始まります.
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2022年7月の記事一覧

§14 中空調子や雲井調子は平調子からできているの?④               お箏を弾く人のための「初めての楽典」   

第14回 中空調子や雲井調子は平調子からできているの?④ 「平調子」「雲井調子」「中空調子」「岩戸調子」「曙調子」は「陰旋法」によって作られている調絃方法であることを説明してきました。 今回はお箏の13本の絃の側からまとめてみます。 その前に、ここで一度「宮・商・角・徴・羽」について正確な説明をしなくてはなりません。 第6回で「宮・商・角・徴・羽」は日本音楽では「階名」として働いていることをお話ししました。しかし、実際には「きゅう・しょう・かく・ち・う」と声に出して歌

§13 中空調子や雲井調子は平調子からできているの?③               お箏を弾く人のための「初めての楽典」   

第13回 中空調子や雲井調子は平調子からできているの?③ 「鳥のように」の調絃 「鳥のように」の楽譜には「雲井調子より六・斗を1音上げ、五・十を半音上げる。巾は九の甲、一は四の乙」という指示があります。もし「平調子」を起点として調絃を開始するとしたら「平調子」から「雲井調子」に移行するために箏柱をまず4つ移動しなくてはなりません。最初が「平調子」ならば13本の絃のうち10本の音が変わります。最初から「雲井調子」に調絃できる方は少し手順が少なくなりますが「五=D」の「雲井調

§12 中空調子や雲井調子は平調子からできているの?②               お箏を弾く人のための「初めての楽典」   

第12回 中空調子や雲井調子は平調子からできているの?② 前回までに「五(一)」絃を「壱越=D」に合わせた「平調子」の「二」絃と「三」絃から新たに「陰旋法の五音」の音階を作ることを実践してきました。 今回は視点を変えてみます。 お箏で「雲井調子」の曲をさらうときには先生から「三と八を半音下げて、四と九を1音(全音)上げて」と教わります。 表でみてみましょう。 これを指示の通りに変化させます。 この表の「二」から「七」に注目して第10回で「二=G(双調)」を起点とし